アリアドネの部屋・アネックス / Ⅰ・アーカイブス

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歌舞伎”木下陰真砂白浪”をみる アリアドネ・アーカイブスより

 
“六月博多座歌舞伎”  6月2日~26日

博多座パンフレットより

<1.木下陰真砂白浪>
尾張国矢作橋、ともに将来を夢見る若者の友市と猿之助は出会い、友市は日本中の金が懐にいる、猿之助は日本国を手に入れるという不思議な夢を見る。そこに女盗賊お峰が現れ、二人の若者はいずれ傑出した人物になると見込み客人に迎える。武将・仁木太郎輝秋は蓮葉屋余六と素性を隠し、使えていた足利家に伝わる宝刀雄龍丸・女龍丸を探していたが、偶然にも二本の宝刀は余六に一目惚れをしたお峰が所有していた。ところが自らの待望を成さんとする友市にお峰の家に伝わる忍術の巻物とともに雄龍丸を奪われてしまう。時は経ち石川五右衛門として世を騒がす友市は、今は真柴久吉としてその名を馳せる猿之助、そして仁木太郎、お峰と再開し・・・
 例によって、妹小冬の自害の場面はあわれをとどめた。
 橋之助石川五右衛門扇雀のお峰とお冬、愛之介の真柴久吉、勘太郎の仁木太郎など個性的な登場人物が宝刀と巻物をめぐり繰り広げる物語は、屋台崩しに雪の中の立ち回り、そして葛籠抜けの宙乗りなど派手な演出に加え、「絶景かな~」などのお馴染みの名セリフもあり、理屈抜きにお楽しみいただけます。

<2.藤 娘>
暗い場内の長歌が流れる中、ぱっと明かりがつくと藤娘が現れる。娘は実は大津絵から脱け出した藤の精で恋に酔う女心を華麗な舞に託します。

<データ>
博多座 2009年6月22日 月曜日 午後4時半~

石川五右衛門橋之助
真柴久吉:愛之助
石川村治左衛門・三好長慶亀蔵
仁木太郎:勘太郎
女盗賊お峰・妹小冬:扇雀

藤娘:七之助

大学院の課外授業の一環で初めて歌舞伎を見る機会を得る。例によって史実と空想が入り混じった荒唐無稽な歌舞伎の世界!舞台装置の派手な演出もさりながら、花道と呼ばれるものの位置づけに今更ながら感心する。それから見得を切るという歌舞伎特有の表現があるが、派手な衣装とともに、テレビではわざとらしく感じられるものが、舞台では祖ほどでもない。いずれにしても、舞台と観客席というものが厳密に区分された近代の劇場の方が世界の演劇史上では特殊なのかもしれない、と感じた。
藤娘は、長歌の、なんとも春ののどかな感じが、古典芸能の情緒纏綿である。

なお、当日歌舞伎鑑賞の位置は、3階の最上段、一番安い席、これを学生価格で購入した。この席は贔屓の役者に向けて、掛け声が上がるところで、それも間遠く、間近く聞こえて、新鮮な体験だった。