アリアドネの部屋・アネックス / Ⅰ・アーカイブス

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黒澤明”蜘蛛巣城”をみる アリアドネ・アーカイブスより

黒澤明”蜘蛛巣城”をみる

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マクベス”の戦国日本に翻案した忠実な映像化である、と言われている。
とりわけ、お能の所作を基本とした山田五十鈴の存在感が素晴らしい。かって日本の伝統的な社会に存在した、ひとのたち振る舞いの所作と様式とを、切り詰めた映像美で戦国絵巻を再現している。

黒澤は、今回、日本の第一線にたった大女優、名声も確立し生半可な手加減を加えにくい相手をから、あらたな美と存在感を引き出してきている。山田五十鈴という、どちらかといえばたおやかな日本風の美人から、妖艶を超えて凄絶ともいえる不気味さを演出しえている。

後年、黒澤の歴史時代劇から、有名俳優の起用が少なくなるのは残念である。

<あらすじ> ウィキペディア
時は戦国時代。蜘蛛巣城城主・都築国春は北の館城主・藤巻の謀反に遭い、篭城を決意する。そんな中、鷲津武時と三木義明の活躍によって形勢が逆転したとの報せが入る。国春に召されて嵐の中を急ぐ武時と義明は、途中の「蜘蛛手の森」で迷ってしまう。そこで二人は奇妙な老婆と出会い、武時は北の館の主、そして蜘蛛巣城の城主になることを、義明は一の砦の大将となり、やがて子が蜘蛛巣城の城主になることを告げられる。老婆の予言通り、国春によって武時は北の館の主に、義明は一の砦の大将に任ぜられる。

武時から一部始終を聞いた妻・浅茅は、老婆の予言を国春が知れば、城主の地位を脅かすものとして武時を殺すに違いない、そうなる前に彼を殺せとそそのかし、武時の心は揺れ動く。折りしも、兵を引き連れた国春が隣国の乾を攻めるために北の館へやって来る。その夜、浅茅は見張りの兵士たちを痺れ薬入りの酒で眠らせる。決意を固めた武時は、国春を槍で刺す。嫌疑をかけられた臣下・小田倉則安は国春の嫡男・国丸を擁し、二人で山に逃れる。

晴れて蜘蛛巣城の城主となった武時だったが、子がないために義明の嫡男・義照を養子に迎えようとする。だが浅茅は「三木殿の御子のために主君を殺したわけではない」と不満を述べる。加えて浅茅から懐妊を告げられた武時は、義明親子に刺客を送り込む。宴の最中、武時は死装束に身を包んだ義明の幻を見て、取り乱す。すっかり座もしらけて客が皆引き上げた後、武時の元に刺客が現れ、義明は討ち取ったものの、義照は取り逃がしてしまったと報告する。怒る武時は、その場で刺客を殺してしまう。

嵐の夜、浅茅は死産し重体に陥る。その時、使武者から国安を奉じた則安と義照を筆頭とする乾の軍勢が国境を越え、一の砦、二の砦を包囲したとの報せが入る。戦意を喪失し、無策の武将達に苛立った武時は、轟く雷鳴を聞いて森の老婆のことを思い出し、一人蜘蛛手の森へ馬を走らせる。現れた老婆は「蜘蛛手の森が動かぬ限り、武時は戦に敗れることはない」と予言する。

依然動揺する将兵に、武時は老婆の予言を語って聞かせ、士気を高める。その夜、森から斧の音が響きわたり、次いで野鳥の群れが城に飛び込む。不気味な雰囲気に包まれた夜が明け、発狂した浅茅にうろたえる侍女たち。動き出した蜘蛛手の森に混乱する兵士たち。持ち場に戻れと怒鳴る武時めがけて、愛想を尽かした味方達の中から無数の矢が飛ぶ。逃げ惑う武時の首を、一本の矢が射抜くのであった。

うごめくように見えた森の中では、則安の軍が森の木を切りそれを盾にしながら前進する。


< キャスト>
三船敏郎(鷲津武時)
山田五十鈴(鷲津浅茅)
志村喬(小田倉則保)
久保明(三木義照)
太刀川洋一(都築国丸)
千秋実(三木義明)
佐々木孝丸(都築国春)
水元(鷲津の郎党A)
高堂国典(武将A)
田吉二郎(鷲津の親兵A)
三好栄子(老女)
浪花千栄子(物の怪の妖婆)
富田仲次郎(武将B)
藤木悠(鷲津の郎党B)
堺左千夫(鷲津の親兵B)
大友伸(鷲津の郎党C)
土屋嘉男(鷲津の郎党D)
稲葉義男(武将C)
笈川武夫(三木の郎党A)
谷晃(鷲津の親兵C)
沢村いき雄(鷲津の親兵D)
田豊(鷲津の郎党E)
恩田清二郎(三木の郎党B)
高木新平(武将D)
増田正雄(武将E)
浅野光雄(鷲津の郎党F)(東映
井上昭文(都築の使武者A)
小池朝雄(都築の使武者B)
加藤武(都築警護の武士A)
高木均(都築警護の武士B)
樋口廸也(都築警護の武士C)
大村千吉(鷲津の親兵E)
櫻井巨郎(都築の使武者C)
土屋詩朗(武将F)
松下猛夫(武将G)
大友純(武将H)
坪野鎌之(都築の使武者D)
大橋史典(先ぶれの武者)
木村功(幻の武者A)(特別出演)
宮口精二(幻の武者B)(特別出演)
中村伸郎(幻の武者C)(特別出演)

<スタッフ>
製作:黒澤明、本木荘二郎
監督:黒澤明
脚本:小国英雄橋本忍菊島隆三黒澤明
原作:ウィリアム・シェイクスピア(『マクベス』より)
撮影:中井朝一
美術:村木与四郎
録音:矢野口文雄
照明:岸田九一郎
美術監修:江崎孝
音楽:佐藤勝
監督助手:野長瀬三摩地
特殊技術:東宝技術部
製作担当者:根津博

東宝 1957年作品 DVD 105分