アリアドネの部屋・アネックス / Ⅰ・アーカイブス

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映画”おくりびと”をみる アリアドネ・アーカイブスより

 
米国アカデミー賞受賞以来全国でも有名になった名画の全国無料放映の一環である。全国津々浦々あらゆる公共施設を利用して上映されている。公民館は狭いので100名程度、昔の講堂であっていた映写会を思い出した。

映画自体は分かりやすいので特に付け加えることはない。”死”を別枠として阻害する現代社会における、納棺師という仕事を通じての問題提起である。死という、死者を送る人間の本義を忘れ去ったかに見える様式への啓蒙的な意義がある。現代社会からは忘れ去られたかに見える人間的存在の様式美と、元失業したチェロ奏者というヒーローの音楽――高名な久石穣の音楽の組み合わせ、脇を固めるベテラン陣がそれぞれに素晴らしい演技を披露していて、エンターティメントとしての最近の日本映画の水準を示すものだろう。ただし、映画全体としては長く、後半の繰り返しはダメ押し点の印象が強い。

俳優陣は、山崎努をはじめ、いずれも劣らぬ名演技をみせているが、特に私は余貴美子の存在感に注目した。この映画の背景には核家族の崩壊というもう一つのデーマを見えぬ背景として点滅させている。

ただ日本人の死生観というものを考える場合には、様式と形ににこだわることは十分に許容しつつも、私には別の感慨があります。以前映画”ポー川のひかり”に関するほかのブログへの私の書き込みを、次のぼろくにて紹介いたします。人の魂をみとるのは人間の涙以上のものがこの世に存在するか、という問題ですね。勿論キリスト教は古来”ピエタ”という形で扱ってきておりますが、マリア信仰は宗派によっては主題的に扱われることはないそうですね。


日時:2009年9月6日 土曜日 午前10時~
場所:福岡市早良区公民館


作品解説・紹介 - おくりびと goo映画より
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所属する東京のオーケストラが解散し職を失ったチェロ奏者の大悟は演奏家を続けることを諦め、妻の美香を連れて故郷の山形に戻ってくる。早速、求人広告で見つけたNKエージェントに面接に出かけ、その場で採用になるが、それは遺体を棺に納める納棺師という仕事だった。戸惑いながらも社長の佐々木に指導を受け、新人納棺師として働き始める大悟だったが、美香には冠婚葬祭関係の仕事に就いたとしか告げられずにいた。

納棺師とはなんと素敵な仕事だろう。主演の本木雅弘山崎努のスムーズな手の動きに思わず見とれてしまう。それは美しく厳かな旅立ちの儀式にふさわしい所作なのだ。かつて旅先で遭遇した納棺の儀式に感銘を受けた本木の発案だというユニークな題材を持つ本作。『病院へ行こう』『バッテリー』などユーモアを交えつつ感動を生む人間ドラマが得意な滝田洋二郎監督がメガホンをとり、放送作家小山薫堂が初めての映画脚本を手がけている。誰もがいつかは迎える死と、その日が来るまで笑って泣いて生きる人々の姿を、夢や仕事への誇り、あるいは親子、夫婦の絆を浮かび上がらせて描いた本作は誰の心にも深く残るに違いない。


<スタッフ>

監督
滝田洋二郎

脚本
小山薫堂

音楽
久石譲

<キャスト>

出演
本木雅弘
広末涼子
余貴美子
吉行和子
笹野高史
山崎努