アリアドネの部屋・アネックス / Ⅰ・アーカイブス

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五月のベスト5

五月のベスト5

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 特に目新しい事はないのですが、昨年の八月より一位を保持していた「右寄りと左寄り、・・・」が首位を明け渡すことになりました。村上春樹については、一応評価はするものの、全体的な基調としては否定的な判断を下している現状では、私にとっては不本意な出来事です。文学は、好き嫌いの問題であるので如何ともし難いのですが、一言で私の趣意を説明すれば、村上の文学が過去の伝統とも切断されていること、文学の進行途上国的な意味での植民地的雰囲気が私の愛国心と日本の矜持の意味から見過ごせないのです。反面、伝統との切断はそれだけ読者を選ばず、平民的で平等主義的であることは認めなければなりません。しかし文学や文化は平等主義では論じきれないのも間違いのないことなのです。悪しからず!

 また、その他のベスト5の中に村上春樹ものが三項目入っているのはやむを得ないことだとは思いますが、5位にゲーテの『親和力』論が入ったのは嬉しいです。ゲーテなどのこの本を読むと、つくづく彼の怖さというものを感じます。反面彼が偉人然とした風貌の傍で見せる人間性を哀惜します。