アリアドネの部屋・アネックス / Ⅰ・アーカイブス

アリアドネ会修道院附属図書館・アネックス一号館 本館はこちら→ https://ameblo.jp/03200516-0813  検索はhttps://www.yahoo.co.jp/が良好です。

ロジェ・ヴァディム映画”危険な関係”をみる アリアドネ・アーカイブスより

 
この映画は二つの観点から興味を持った。
一つは、ジャンヌ・モローの映画であること。
二つは、ロジェ・ヴァデイムの監督作品であること。

モローの悪女ぶり、ということからすれば、”エヴァの匂い”からすれば初々しい?という感じがする。十八番になった、例の凍るような作り笑いがまだ板についていない。ドラマとしては勧善懲悪なのだろうけれども、顔に火傷を負っても悪びれないところがよい。また悪役に徹しきれない優柔不断さという意味でのジェラール・フィリップの起用は成功していると思う。

ロジェ・ヴァディムに関して言うならば、後年の――”悪徳の栄え”や”戦士の休息”のような、華麗な映像美には程遠い、初心で作ったという意味ではこれも初々しい感じである。

映画で一工夫されていると感じたのは、貞淑な人妻という役柄でマリアンネ夫人を演じたアネット・ヴァディム。映画ではデンマーク生まれの素朴な女性として、あえて言えば都会的センスの対極にある飾らぬ人格として描かれているのが良い。ヴァルモンが今までに経験しなかった女性のタイプとして、恋の手練手管と本心とを混同していく過程が映画では説得性をもって描かれている。たぶん純心で貞淑という設定だけでは、なぜヴァルモンが本物の恋に落ちていくのかを、現代のドラマとして説得的に描くのは困難であったろう。ヴァディムは自分自身の私生活上のモチーフ――アネット・ヴァディムは新婚ほやほやの外国人妻であったらしい――をうまく映画にとりこんでいるといえよう。

ヴァディムは、映画の最終シーンに新妻のために美しいシーンを用意した。ジュリエットの怒りによる一通の電報によってヴァルモンとの仲を裂かれたマリアンネ夫人が精神の異常をきたして、ヴァルモンとの未来の生活を夢のように語り、娘の気遣って訪ねてきた母親が娘の異常に直面する場面である。マリアンネの哀れさと、ジュリエットの凍ったような不遜さをダブルイメージとして重ねてこの映画は終わる。


<あらすじ>
外交官ヴァルモン夫妻と言えばパリの上流社会でも最も洗練されたカップルである。このカップルはまことに不思議な夫婦であった。妻ジュリエット(ジャンヌ・モロー)は、多くの男と関係をしながらも、夫ヴァルモン(ジェラール・フィリップ)を誰よりも愛していたし、夫ヴァルモンとて次々に女を変えながらも、一番愛しているのはジュリエットであった。しかも二人はお互のアヴァンチュールを報告し合うばかりか、その始末まで共謀でやっているのだ。

パーティの夜、ジュリエットは別れようと考えていた愛人ジェリ・コート(ニコラス・ヴォーゲル)が若いセシル(ジャンヌ・ヴァレリー)と婚約したのを知った。一寸した復讐心から、彼女は夫ヴァルモンにセシルの純潔を踏みにじらせてからコートに渡してやろうとする。ヴァルモンはセシルがクリスマスを過ごしているメジューヴでセシルを難なく物にした。セシルはまた、金持のコートと婚約しながら、真面目なダンスニ(ジャン・ルイ・トランティニャン)と恋をささやいているチャッカリ娘でもあった。

ヴァルモンはセシルを簡単に手に入れたが、メジェーヴで会ったマリアンヌ夫人(アネット・ヴァディム)に心を奪われてしまった。あらゆる手をつくして彼はマリアンヌに迫ったが、彼女は難攻不落であった。ヴァルモンの彼女に対する気持はとうとう本物の恋になってしまった。遂にマリアンヌもヴァルモンの情熱に屈した。夫のそんな変化にジュリエットはいささか驚いた。そして策をめぐらし無理矢理二人の仲を割いた。だが二人の仲にはしこりが残り、ジュリエットは夫への仕返しにダンスニを情人にしようとした。

ところがヴァルモンとセシルの仲を知らされたダンスニは、怒りのあまりヴァルモンを殺してしまった。警察が事情をしらべる前に、ジュリエットは二人の間に交された情事の手紙を焼きすてようとしたが、あやまって顔にやけどをしてしまう。スキャンダルはひろまった。つめかけた新聞記者を前にして、だがジュリエットは無惨に醜くなった顔を、昂然と上げていた。


フランス映画”危険な関係”1959年

キャスト(役名)
Gerard Philipe ジェラール・フィリップ (Valmont)
Jeanne Moreau ジャンヌ・モロー (Juliette Valmont)
Annette Vadim アネット・ヴァディム (Marianne Tourvel)
Jeanne Valerie ジャンヌ・ヴァレリー (Cecile Volange)
Jean Louis Trintignant ジャン・ルイ・トランティニャン (Danceny)
Simone Renant シモーヌ・ルナン (Mrs. Volange)
Nicolas Vogel ニコラス・ヴォーゲル (Jerry Court)
Madeleine Lambert (Mrs. Rosemonde)

スタッフ
監督
Roger Vadim ロジェ・ヴァディム

原作
Pierre Choderlos de Laclos ピエール・コデルロス・ド・ラクロ

脚色
Roger Vailland ロジェ・ヴァイヤン
Roger Vadim ロジェ・ヴァディム

台詞
Roger Vailland ロジェ・ヴァイヤン

撮影
Marcel Grignon マルセル・グリニョン

音楽
Thelonious Monk セロニアス・モンク
Barney Wilen バルネ・ウィラン
Art Blakey's Jazz Messengers アート・ブレイキージャズ・メッセンジャース
Lee Morgan

アメリカ映画"死刑執行人もまた死す”1943年をみる アリアドネ・アーカイブスより

 
 ”死刑執行人”と呼ばれたナチの実在の長官、ラインハルト・ハイドリッヒが1942年にチェコ愛国者に暗殺され、その見せしめのために、数百人のプラハ市民を、暗殺者が自首して出てくるまで、無作為に処刑したという史実に基づいている。前半は、第二次大戦かのナチによる恐怖政治が何であったかを映像で見せている。映画の前半は、国民の英雄でもある暗殺者を守り通すのか、それとも無辜のプラハ市民を救うために自首して出るか、出させるか、という登場人物たちの葛藤を通して描かれる。亡命政府に協力するヒロインが、単純な愛国者として描かれていないことが共感を持てる。
 後半は、一転して、亡命政府側の二重スパイとナチの有能な警部をまんまと罠にかけて、”暗殺者”に仕立ててしまう、スリリングな”一石二鳥”案が功を奏して、ナチスプラハ市民への報復措置は失敗に帰する。ナチスは失敗を認めたあとも自己の威信を保つためにこの結末をこれ以上蒸し返さないことで結果的に敗北を認めることになる。映像は、事件収束後も処刑者リストとして見せしめのために拘置していた人質数百名を放免しうるのではなく銃殺刑にしてしまう。
 予想がつかない筋の展開にいつしか巻き込まれてしまうのだが、映画のできとしては、ナチの風景を描いた前半が良い。後半もスリラーとしては楽しいが、前半のナチの不気味さを描いた部分の恐怖感には及ばない。

<スタッフ>
監督:フリッツ・ラング
原案:フリッツ・ラングベルトルト・ブレヒト
脚本:    〃         〃
   ジョン・ウェスリー
撮影:ジェイムズ・ウォン・ホー
音楽:ハンス・アイスラー
美術:ウィリアム・ダーリング

<キャスト>
ブライアン・トンレヴィ:ウォルター・ブレナン
アンナ・リージーン・ロックハート
アレクサンダー・グラナッハ:デニス・キオ―フ
ハンス・フォン・トワルトフスキー:ジョナサン・ヘイル

1943年 アメリカ作品

回想のアメリカ映画”裸足で散歩”・資料編 アリアドネ・アーカイブスより

 
goo映画より

<あらすじ>
2月のニューヨーク。かけだしの弁護士ポール(ロバート・レッドフォード)とコリー(ジェーン・フォンダ)は、夢のようなハネムーンを終わってグリニッチ・ビレッジのアパートに帰ってきた。エレベーターのないアパートの5階の部屋は、大変お粗末で、天井のあかりとり窓が割れ、雪が落ちてくる始末だ。そのうえ、このアパートの住人には変人が多く、なかでも“東10丁目の青ひげ"の異名をとるベラスコ(シャルル・ボワイエ)はかわり者だ。屋上にある自分の部屋に行くのに堂々とコリーたちの部屋を通り、あかりとり窓からでていくような男。しかし、コリーはすぐ親しくなった。そんな頃、コリーの母バンクス夫人が新婚夫婦の様子をみにきた。コリーは母とベラスコを夕食に招待した。ポールはベラスコをきらっていたが、マジメ一方のポールをベラスコに近づけることによって、ポールにも人生を楽しむ術をおぼえてもらいたい、という魂胆がコリーにはあった。夕食後、コリーとベラスコは上機嫌だったが、ポールは疲れはて、バンクス夫人は飲みすぎて、どちらも元気がない。ベラスコがバンクス夫人を送って帰ったあと、コリーとポールの言いあらそいが始まった。かつて2人でよく公園に遊びに行った時、ポールは裸足で歩くことを拒んだ--などという古い話まで持ち出される始末。あげくのはて、コリーは離婚しようといいだした。翌日、コリーがベラスコの部屋に行くと、そこには、なんと、昨夜帰ったはずのバンクス夫人がいるではないか!しかも男もののバスロープを着て。夫人の語るところによると、アパートの前でころんで、近所の人々に運びこまれたという。コリーは早速、離婚の話をした。しかし反対され、ひとりで公園に行った。するとそこには、酔っぱらって裸足で歩いているポールがいた。そしてマジメ人間はもうやめて、アパートの他の住人のように、のんきに暮らすと宣言した。やっぱりコリーはポールを愛していた。2人はアパートの屋上に上がり大声で歌い始めた。往来に人が集まり屋上を見上げて、この若い2人の自由人を祝福した。その中にはベラスコとバンクス夫人の明かるい顔もまじっていた。

<キャスト・スタッフ - 裸足で散歩(1967)>


<キャスト(役名)>
Robert Redford ロバート・レッドフォード (Paul Bratter)
Jane Fonda ジェーン・フォンダ (Corie Bratter)
Charles Boyer シャルル・ボワイエ (Victor Velasco)
Mildred Natwick ミルドレッド・ナットウィック (Mrs. Ethel Banks)
Herbert Edelman ハーバート・エデルマン (The Telephone man)
Ted Hartley テッド・ハートレイ (Frank)
Mabel Albertson マーベル・アルバートソン (Aunt Harriet)

<スタッフ>
監督
Gene Saks ジーン・サックス

製作
Hal B. Wallis ハル・B・ウォリス

原作
Neil Simon ニール・サイモン

脚本
Neil Simon ニール・サイモン

撮影
Joseph La Shelle ジョセフ・ラシェル

音楽
Neal Hefti ニール・ヘフティ

映画”夜霧のマンハッタン”をみる アリアドネ・アーカイブスより

 
このところ映画を集中的にみたので少し疲れた。最後は、軽めのアメリカ映画を紹介して一応の締めくくりとしたい。

ロバート・レッドフォードとデヴラ・ウインガーの競演ということで見ることにした。二人のローマンが犯罪に巻き込まれ、ドタバタの劇の進行にも関わらず、激することなく”大人”の関係をふたりが演じるところがいかにも洒落た映画の仕上がりとなっている。DVDなどではなく映画館でその雰囲気を味わうべきだろう。

同じニューヨークを舞台として洒落た映画と言えば、同じレッドフォードがジェーン・フォンダと共演した”裸足で散歩”の方をお勧めする。マルセル・カルネの”マンハッタンの哀愁”――これはフランス映画と言うべきか――や”ウエストサイド物語”とともに、ニューヨークという都市を実に詩情豊かに描いている。

参考に”裸足で散歩”をgoo 映画より紹介しておく。制作年代1967年。まさにベトナム反戦運動の怒濤の波がそこまで近づいていたという歴史的な感慨をもって見ると、ジェーン・フォンダのどの後の変貌ぶりが象徴的で、映画の外に真実があると思ってしまう。


goo映画より
<あらすじ>
1968年、マンハッタン。著名な画家のセバスチャン・デアドンは娘チェルシーの8歳の誕生日の夜、自宅の火事で焼死。彼の価値ある多くの絵画もこの火事で焼失した。それから18年後--。離婚経験があり、現在は独身中のトム・ローガン(ロバート・レッドフォード)は有能な地方検事補で、彼の上司はローガンを次期の地方検事に推薦しようとしていた。その大事なスピーチのある宴会場に、敏腕弁護士として知られる若くて美しいローラ・ケリー(デブラ・ウィンガー)が長身の女性チェルシー(ダリル・ハンナ)を連れて現われた。そして現在ケリーが扱っているデアドン事件が特殊な事件にもかかわらず、検事側はケリーの要請を無視していると訴えた。デアドン事件とはチェルシーがある絵を盗もうとした事件だが、チェルシーはその絵は自分の父が誕生日にプレゼントしてくれたもので絵の裏には父のサインもあるということだった。チェルシーは18年前に火事で焼死したとされていたセバスチャン・テアドンの娘であった。この訴えにローガンは、サインが本当にあれば訴えは取り下げると約束した。そして、ローガンはケリーとともにその絵の持ち主フォレスター(ジョン・マクマーティン)の所に行くが絵はすでに他の人に渡っており、チェルシーへの告訴も取り下げたと伝えた。2人はその足で新しい絵の所有者ヴィクター・タフト(テレンス・スタンプ)の所に行き、絵の裏を確認するが、そこにはサインはなかった。その日の深夜、ローガンの自宅にチェルシーが突然訪ねてきて、何者かに後を尾けられていると訴えた。ローガン同様、なかなか寝付けなかったケリーのアパートを翌朝、キャヴァナウ刑事(ブライアン・デネヒー)が訪ねてきた。彼は18年前のデアドン事件の担当刑事でセバスチャンは何者かに殺されたのだと告げ、当時の資料などを彼女のもとに置いていった。その資料を検討したケリーは早速、ローガンの所に行き、2人でタフトの所に出向いた。そして、焼失したはずのセバスチャンの絵が今も実在する事実を彼に問い質した。慌てたタフトはすぐに動いた。タフトは自分の倉庫に行ったのだ。彼を尾行して2人も倉庫へ。そこで2人はフォレスター、タフト、そしてジョセフ・ブロックの3人が発起人となって62年に設立された会社の登記書類とフォレスターとタフトが受け取り人になったセバスチャンの保険人支払いの書類等を発見した。が、同時にタフトによって仕掛けられた時限爆弾も発見され、2人は危機一髪の所でこの難を逃れた。その夜、ローガンの自宅に再びチェルシーが現われ、タフトに本物の絵のありかを聞きだそうとしたところ、逆に襲われそうになったので逃げてきたと伝えた。ローガンはその晩、彼女を自宅に泊めることを決心し、深夜になるとチェルシーが彼のべッドに入り込み、2人は自然と一夜を過ごすのだった。だが、翌朝、2人は刑事によって叩き起こされた。タフトが殺されたのだ。チェルシーはその容疑者として逮捕され、ローガンもこの件がもとで検事補を辞職するハメに陥った。そんな彼をケリーは自分の事務所に居候させ、2人でチェルシーの弁護にあたることにした。審理が進んだある日、法廷に来たフォレスターを見てチェルシーは幼い頃の記憶がよみがえり、18年前に父を殺したのは彼だと思い出した。やがて、そのフォレスターも何者かに殺され、八方塞がりに陥るが、ローガンはふとしたことからタフトの事務所にあった彼の秘蔵品の彫像を思い出し、画廊に急いだ。一方、ケリーはキャヴァナウ刑事を訪ねたが、そこに現われた刑事は以前のキャヴァナウ刑事ではなかった。一連の事件の真犯人がキャヴァナウ刑事になりすましていたのだ。ケリーも画廊に急ぐが画廊は真犯人により火の海となっており、またまた危機に陥るがローガンによって救出され、犯人はローガンと争ううちに階下へ落ち死亡した。本物の絵はやはり彫像の中にあり、それにはセバスチャンから娘のチェルシーへ贈るというサインがあった。



<キャスト・スタッフ - 夜霧のマンハッタン(1986)>

キャスト(役名)
Robert Redford ロバート・レッドフォード (Tom Logan)
Debra Winger デブラ・ウィンガー (Laura Kelly)
Daryl Hannah ダリル・ハンナ (Chelsea Deardon)
John McMartin ジョン・マクマーティン (Forrester)
Brian Dennehy ブライアン・デネヒー (Cavanaugh)
Terence Stamp テレンス・スタンプ (Victor Taft)
Steven Hill スティーヴン・ヒル (Bower)
David Clennon デイヴィッド・クレノン (Blanchard)

<スタッフ>
監督
Ivan Reitman アイヴァン・ライトマン

製作
Ivan Reitman アイヴァン・ライトマン

製作総指揮
Michael C. Gross マイケル・C・グロス
Joe Medjuck ジョー・メジャック

脚本
Jim Cash ジム・キャッシュ
Jack Epps Jr. ジャック・エップス・ジュニア

撮影
Laszlo Kovacs ラズロ・コヴァックス

音楽
Elmer Bernstein エルマー・バーンスタイン

美術
John De Cuir ジョン・デ・キュア

編集
Sheldon Kahn シェルドン・カーン

字幕
戸田奈津子 トダナツコ

2月のベスト10

2月のベスト10

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6位に漱石と鴎外について書いたもの、7位に有島武郎、が入りました。嬉しいです。

8位と9位に私のウォーキングあるいは逍遥散歩ものが何故か二篇も入りました。痛み入ります。

 

漱石『こころ』と鷗外『興津弥五右衛門の遺書』と――乃木希典の殉死をめぐって | アリアドネの部屋 (ameblo.jp)

 

有島武郎 『一ふさのぶどう』 | アリアドネの部屋 (ameblo.jp)

 

フクロウの森の坂道を自転車を押して。。。 | アリアドネの部屋 (ameblo.jp)

 

7月14日 折りたたみ傘をを小脇に抱えて、歩く・・・”ふくろうの森”の折れ曲がった坂道たち | アリアドネの部屋 (ameblo.jp)

 

10

日本と欧米の自然観の違いについて――富山和子”日本の米”其のほかを読んで(2011/7) アーカ | アリアドネの部屋 (ameblo.jp)

2月のベスト5

2月のベスト5

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2021年2月のベスト5です。私の拙い政治状況論は去年の8月以来一位をキープ、いつまで続くのでしょうか。

村上春樹ものが、ここにきて2、3、4位を独占しました。

5位は私の志賀直哉に関する論評が入りましたが、なにか学校でのレポートや読書感想文があるのでしょうか。昨今は、志賀直哉とか島崎藤村などは殆ど話題にされなくなりましたね。一時は志賀は小説の神様とまで言われていましたし、藤村は女子大文学部の卒論の一位は藤村に関するものだという噂すら聴いたことがありましたよ。

 

右寄りと左寄り、あるいは政治の色分けについて | アリアドネの部屋 (ameblo.jp)

 

☆”ノルウェイの森” を廻る二人の悪党 その2 レイコさんの場合――社会事象としての村上春樹・第 | アリアドネの部屋 (ameblo.jp)

 

村上春樹 短編『蛍』と『ノルウェイの森』 流行作家が見失ったものと見捨てたもの 2012-11- | アリアドネの部屋 (ameblo.jp)

 

”ノルウェイの森” を廻る二人の悪党 その1 永沢さんの場合――社会事象としての村上春樹・第5夜 | アリアドネの部屋 (ameblo.jp)

 

『城の崎にて』と『濠端の住まい』 | アリアドネの部屋 (ameblo.jp)

ルコント映画”仕立て屋の恋”をみる アリアドネ・アーカイブスより

 
これぞフランス映画といった仕上がりの映画である。映画を観る前のポスターのセンスであるとか、原作がシムノンであることを確認したら、ある程度の映画作品になるであろうことは想像できる。ルコントという人についてはよく知らない。

映画を見終わった感想を一言でいえば映画冥利に尽きるということである。
しかし遣り切れないほど納得の出来ない映画である。ルコントもシムノンも上手いのだろうけれども、おそらくこれほど純情で、可哀そうな男もいないのではなかろうか。映画は分かりやすい。

頭の禿げた中年のさえない独身の男性が、ひょんなことから殺人事件に巻き込まれる。サスペンスドラマには違いないのだが、鑑賞後の印象は重い。軽めのサスペンスドラマの展開が邪魔になるほど、映画の訴えるものは強く大きい。そしてこんなことでいいのだろうか、一体全体このような非合理なことがまかり通っていいのかと思う。苦くて、この世界観には救いがない。

ドラマは殺人事件を目撃した男が、犯罪グループの女性に恋したがために、女に裏切られても、利用されても全ての罪を引っ被ってビルから落ちて死ぬ、つなり犯罪の被告として死ぬ、という救いのない結末である。暗すぎるし、切なすぎる。

恋する仕立て屋演じたミシェル・ブランの演出が実によい。仕立て屋だから仕立ての良い紳士然通した服装であるのはわかる。外見の強面と、内面の繊細さが実にアンバランスなのだ。それに禿で、面白みのない中年男とくれば、共同体の不満解消を一手に引き受けてスケープゴートになるのも何となく理解で来そうな気がする。それに、演出かが意図したかどうかは分からないが、風貌が、西側の人間が一番嫌いな、あのプーチン氏を連想させるというのは、時代設定の問題はともかく、深読みにすぎるのであろうか。

ハッキリ言って、地域住民と警察権力(刑事)のいじめ、であるといってよい。挙句の果てに、とことん利用されたことを知りながら、かれは女と刑事の前で最後にこういう。

”恨みはしない。素晴らしい愛の経験をありがとう”

昨日”エヴァの匂い”で、ダメ男の系譜について色々と書いたが、これはまたダメ男の極限態である。
あるいはと、あえて私は言おう――これは愛が、恋とか鮒とか、日常的些事にかかわる物事を超越してしまう、純愛の高貴な時間を描いていると。愛という名の偉大な作用が、いかなる影響を人に及ぼすのか、それはこのドラマに関わった下々の人間の世間じみた思惑を遙かに超えているのである。男の哀れさに涙したのではなく、愛の高貴さに涙しました。

goo映画より――

<あらすじ>
薄暗い公園でピオレットという青年が殺された。捜査を担当した刑事(アンドレ・ウィルムス)は、以前強制わいせつ罪で捕まったことのある仕立て屋イール氏(ミシェル・ブラン)の犯行ではと疑う。極端にきれい好きで孤独なイールは近所の人々からは嫌われており、売春宿に通い、ボーリング場で抜群の腕を披露することを習慣としていたが、そんな生活に変化が起きていた。中庭をはさんだ向かいに住む美しいアリス(サンドリーヌ・ボネール)の生活を、夜毎、電気もつけずにただ眺めることで、彼は彼女に恋い焦がれていた。アリスの部屋に時々婚約者のエミール(リュック・テュイリエ)が訪れるのも知っていた。アリスはエミールと結婚したいと願っていたが、彼はいつも返事をごまかしていた。ある夜、自分の部屋を覗き見るイールの存在に気づいたアリスは、最初ショックを受けるが、やがて事件のことを知っているかどうか確かめるためにイールに接近していく。はたしてイールは、エミールがピオレットを殺し、アリスに死体の処理を手伝わせていたのを目撃していた。だがイールはアリスを愛するあまり警察にはだまっていたのだった。初めはエミールを守るためにイールに接近したアリスだったが、徐々に彼の愛に心が揺れていく。それはボクシング観戦の日に絶頂となった。イールはアリスに一緒にスイスに逃げようと持ちかけ、リヨン駅で待つが、アリスは来ず、落胆したイールがアパートに戻ると、そこには殺されたピオレットのコートを彼の部屋に置いたアリスと、通報を受けてやってきた刑事が待っていた。アリスの裏切りに対しても「君を恨んではいない。ただ死ぬほど切ないだけだ」と話すイール。そして隙をついて屋上に逃げるが、足を滑らせて転落してしまう。アリスは全ての感情を押し隠して、その様子をイールの部屋の窓から見続けていた…。だが全ての真相は、イールがアリスと国外脱出するのを前提としてしたためていた刑事への手紙で明らかになった。

<解説>
仕立て屋の中年男が向かいに住む女性を愛するあまり、殺人事件に巻き込まれ、人生を狂わせてしまう物語。「髪結いの亭主」のパトリス・ルコントが、ジョルジュ・シムノンの原作『イール氏の犯罪』(邦題『仕立て屋の恋』ハヤカワ文庫刊)をもとに監督・脚本を手がけたもので、製作順としては「髪結いの亭主」の前作。製作はフィリップ・カルカソンヌとルネ・クレトマン、共同脚本はパトリック・ドヴォルフ、撮影はドニ・ルノワール、音楽はマイケル・ナイマンブラームス「ピアノ四重奏曲第1番ト短調」を主題に担当。

<作品情報 - 仕立て屋の恋
原題 : Monsieur Hire
製作年 : 1989年
製作国 : フランス
配給 : デラ・コーポレーション


<キャスト(役名) - 仕立て屋の恋
Michel Blanc ミシェル・ブラン (Monsieur Hire)
Sandrine Bonnaire サンドリーヌ・ボネール (Alice)
Luc Thuillier リュック・テュイリエ (Emile)
Andre Wilms(2) アンドレ・ウィルムス (L'inspecteur)
Philippe Dormoy (Fran8fa1dbois)

仕立て屋の恋」キャスト一覧
スタッフ - 仕立て屋の恋
監督
Patrice Leconte パトリス・ルコント

製作
Philippe Carcassonne フィリップ・カルカッソンヌ
Rene Cleitman ルネ・クレトマン

原作
Georges Simenon ジョルジュ・シムノン

脚本
Patrice Leconte パトリス・ルコント
Patric Dewolf パトリック・ドヴォルフ

撮影
Denis Lenoir ドニ・ルノワール

音楽
Michael Nyman マイケル・ナイマン

美術
Ivan Maussion イヴァン・モシオン

編集
Joelle Hache ジョエル・アッシュ

衣装(デザイン)
Elisabeth Tavernier

録音
Pierre Lenoir