2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧
カント"永遠平和のために”について・Ⅱ2010-10-10 22:48:22テーマ:文学と思想 2-3 公共性とは何か? 第2追加条項の”公表性”と付録2の”公開性”は、共に公共性の固有な側面を、前者は権利としての公共性を、後者は他者受容のあり方としての公共性を語って…
カント"永遠平和のために”について・Ⅰ――批判後期における他者性の思想、公共性から実存2010-10-10 22:43:56テーマ:文学と思想 カント"永遠平和のために”について――批判後期における他者性の思想、公共性から実存へ―― 1.概要: 予備条項では平和を確保する…
カントの"啓蒙とは何か”にみる職業的知識人の誕生2010-10-10 22:36:43テーマ:文学と思想 カントの"啓蒙とは何か”にみる職業的知識人の誕生 カントは啓蒙について簡明な定義を与えている。啓蒙とは、人間が自らが招いた未成年の状態から抜け出ることである、…
美学におけるアリストテレス的問いの今日的意義について2010-10-10 22:32:12テーマ:文学と思想 芸術興行における 演劇的”身体性”の諸問題をめぐって ――美学におけるアリストテレス的問いの今日的意義について―― ふつう芸術興行というと、"事業" としての経…
プラトンの”饗宴”を読む――プラトンにおけるエロース論の諸相とギリシア民主制の終焉2010-10-10 22:28:57テーマ:文学と思想 プラトンの”饗宴”を読む――プラトンにおけるエロース論の諸相とギリシア民主制の終焉―― 1.背景:紀元前416年、アテナイの悲劇作家…
時の記憶――言葉の端緒に佇立して2010-10-10 22:12:50テーマ:文学と思想 トーク:【哲学漫談】 時の記憶――言葉の端緒に佇立して” プラトンの対話篇などをよむと、しばしば”見ること”という行為に立脚した言葉が出てまいります。見ることに準拠する、究極のイ…
書記性と口承性と・Ⅱ2010-10-08 20:13:47テーマ:文学と思想 矢向正人先生の後期の”東洋における舞台芸術”の授業は歌舞伎座の演芸場としての機構や各階各部位の客席からの見え方の紹介から始まり、主要な舞台機構回り舞台、セリ、花道等の役割を演目のビデオ…
書記性と口承性と・Ⅰ2010-10-08 18:05:04テーマ:文学と思想 書記と口承とは、一般には文字以前の文化において芸術・芸能を伝える媒体の問題として知られている。前記の授業の中で、江戸時代以前の音曲をどのように伝えるのかという明治初期の時局的な問題性…
ジェイムズ・ジョイスのことなど2010-10-08 01:04:17テーマ:文学と思想 葵サン、アイルランドのダブリンに住まれて思う存分好きなジョイスの写真を撮られておられるとか・・・ 私も久々にジョイスを思い出しました。ご存じない方のためにジョイスの代表的な…
純愛小説としての”失われた時を求めて”その読み方(その2)―― プルースト断章・Ⅵ2010-10-01 14:40:46テーマ:文学と思想 プルーストといえば紅茶に浸したプチットマドレーヌの背後に潜む深遠な哲理と詩学を語った意識の流れ系の作家としてイメージされること…
書かれざるもうひとつの予感の書(2) ”失われた時を求めて”――プルースト断章・Ⅳ2010-09-30 07:17:51テーマ:文学と思想 ”失われた時を求めて”は話者が最後に1篇の作品を書こうとするところで終わっている。無論、書かれざる作品が現在の残されている”失わ…
社会小説としての”失われた時を求めて”、私の読み方(その1)――プルースト断章・Ⅴ2010-10-01 12:32:58テーマ:文学と思想 思えばプルーストとは長い付き合いになる。1964年頃、当時井上究一郎他の複数者訳で当時新潮社の出ていた七巻全十五冊を全巻そろ…
ミシエル・ビュトール”心変わり”2010-09-28 14:34:52テーマ:文学と思想 懐かしいヌーヴォー・ロマンの代表作である。ビュトールは”時間割”を読んだことがあるので、ほとんど半世紀ぶりの”再会?”となるのであろうか。今となってはマイナーな文学愛好家の関…
マルセル・プルースト、書かれざるもうひとつの予感の書(1)――プルースト断章・Ⅲ2010-09-28 12:18:37テーマ:文学と思想 プルーストは様々なメタファーで思いを述べた。その中でもプチット・マドレーヌと紅茶の挿話は秀逸で、”失われた時”といえば決まって…
"失われた時”と”見出されたとき”――プルースト断章・Ⅱ2010-09-28 10:48:14テーマ:文学と思想 ”失われた時を求めて”という表題が適切であるのかどうか、そのことを少し考えたい。”失われた時”とは当初、第一巻”スワンの家の方”などと読むと、見出されなければ…
スノビズムと言う名の時間論――プルースト断章・Ⅰ2010-09-27 16:34:50テーマ:文学と思想 プルーストの”失われた時を求めて”の最終巻”見出され時”お末尾には、人間をして、時の中に場所を占める巨人族のようなものだ、という表現がある。人間を実存としてあら…
ジョイスとプルーストの出会う場所2010-09-26 17:38:51テーマ:文学と思想 有名な話であるが、ともに二十世紀の文学世界に革新的な意義をもたらした二人の巨匠、ジェイムズ・ジョイスとマルセル・プルーストが一度だけ、当時パリのホテル・リッツであったか…
プルーストとカントの美学2010-09-26 00:48:44テーマ:文学と思想 ”失われた時を求めて”という表題は作者によって命名されたものだそうだが、果たして正確にこの小説の主題、内容と符合しているのだろうか。”見出された時”の末尾の大団円までくると、失われ…
ワークショップ的理性批判について・その12010-05-01 13:05:55テーマ:文学と思想 プラトンの対話篇などをよむと、しばしば”見ること”という言葉が出てくる、見ることに準拠する、究極のイデア論が語られる。イデア論は当時より評判が悪く、彼の弟子に当た…
シモーヌ・ヴィイユの母2010-04-12 12:39:31テーマ:文学と思想 シモーヌ・ヴィイユの話題は二つであるように思われる。一つは、彼女の権力概念と政治思想であり、二つは、晩年の神秘主義思想への接近とキリスト教理解である。 初期の彼女は、明らかにルソー…
わたしの”もがり”論について・Ⅱ中村善也"ギリシャ悲劇入門” ブロッキエーリの”エロイーズとアベラール”2010-03-28 20:10:16テーマ:文学と思想 ブロッキエーリは正式には、マリアテレーザ・フマガッリ=ベオニオ=ブロッキエーリといい、ミラノ大学教授、中…
中村善也"ギリシャ悲劇入門”2010-02-27 23:46:58テーマ:文学と思想 ”ギリシア悲劇入門” 1 序にかえて2 ソポクレスの「オイディプス王」3 「エレクトラ」をめぐって4 アイスキュロス劇の世界へ5 エウリピデスの出発6 新しい劇 ”宇宙秩序の中での人間のあり方…
シュレンドルフの『テルレスの青春』NEW!2020-01-13 18:17:46テーマ:映画と演劇 ローベルト・ムジルの同名の小説の映画化である。戦間期のドイツ、ギウナジウムが舞台である。男子だけの寄宿舎で繰り広げられる、凄惨なリンチの場面など、ナチスとユダヤ人…
ヴァージニア・ウルフ”ジェイコブの部屋”2010-02-20 12:21:10テーマ:文学と思想 この小説はジェイコブの部屋と名づけられているが、ジェイコブ自身は明瞭な目鼻立ちを欠き、最後はあっけなく亡くなった様子が友人の眼を通して語れれて幕となる。第一次大戦…
ヴァージニア・ウルフの”幕間”――白鳥の歌?2010-02-17 00:36:42テーマ:文学と思想 ”幕間”はヴァージニア・ウルフの最後の作品になる。1941年2月26日にこの作品を完成させ、1ヶ月後に亡くなった。この多様なイメージと象徴の連合を白鳥の歌といっていいか迷…
マルセル・プルースト 時と永遠2018-01-11 11:42:27テーマ:文学と思想 たとえばプルーストには無意識的回想と云う時に関する有名な考え方があってよく云々されてきた。過去を知ろうとするときに、わたくしたちの認識と云う作用は、本来的にものごとか完了し…
回想のヴァージニア・ウルフ”ダロウェイ夫人”2010-02-15 17:54:33テーマ:文学と思想 ”灯台へ”と同じく四十数年前に読んだこの小説のことは、移動する物語的舞台の至る所で鳴るビック・ベンの時を刻む音のほかは、完全に失念していた。"灯台へ”の場合は詩的…
野島秀勝”ヴァージニア・ウルフ論”――美神と宿命2010-02-07 15:53:19テーマ:文学と思想 現代文学と近代文学の境をどこに置くか。その答えは、例えば――ヴァージニア・ウルフの”現代小説論”が出版され、ベネット、ゴールズワージィ、ウェルズ等のエドワード朝…
N・ニコルソン 評伝”ヴァージニア・ウルフ”2010-02-06 11:00:56テーマ:文学と思想 ヴァージニア・ウルフについては長年月気になりながら、小説は”灯台へ”と”ダロウェイ夫人”を四十数年前に読んだだけ、初めて今回ウルフのまとまった評伝を読んだ。ウルフの…
回想のヴァージニア・ウルフ”灯台へ”2010-02-05 14:56:10テーマ:文学と思想 ”灯台へ”は殆ど42年ぶりに再読したことになる。当時私は19歳か二十歳だった。これがあのとき読んだものと同じものかと思うほど、歳月はその細部を消滅させていた。イメージは流れ…