2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧
ヴァージニア・ウルフ『存在の瞬間』1976年――黄昏のロンドン・312019-05-04 11:07:41テーマ:文学と思想 五つの生前未公開、あるいは部分公開(私的集まりでの朗読)などの文集が含まれている。 ⑴ 「思いだすまま」 ⑵ 「過去のスケッチ」 ⑶ 「ハイドパ…
ヴァージニア・ウルフ『自分だけの部屋』――黄昏のロンドン・302019-05-04 10:20:11テーマ:文学と思想 1929年の『自分だけの部屋』は、有名な「年収500ポンドと鍵のかかる部屋」のキャッチフレーズで有名なヴァージニアの知的エッセーである。 天才…
マニアと愛好家2019-05-04 09:15:36テーマ:文学と思想 じつは根気がないせいなのだが、私はマニアと愛好家を区別している。批評家と研究家も区別している。批評と評論と研究も行為のあり方として区分している。あとの方の問題群の方は今回の話しに関係しな…
鏡のなかの私2019-05-02 22:27:04テーマ:Yahoo!ブログ移行 鏡のなかの私とは、ブログのなかの私と言う意味です。 ブログのなかの私は、いちめん私とそっくりでありながら、いちめん私より少し立派です。ーー例えば当ブログに度々訪問されてコメントを残して…
令和元年!2019-05-02 08:49:48テーマ:政治と経済 わたしは、「令和」を歓迎いたしません。 「令和の時代」を、令和の御代を歓迎いたしますが、 令和と云う字面を歓迎しません。 そもそも令和の命名は、歴史理解の大いなる誤解に戻づいています。 大宰府の…
イギリス的なものとE・M・フォースター『ハワーズ・エンド』、ヴァージニア・ウルフとの関係、ならび2019-05-01 10:52:55テーマ:文学と思想 二つの青い異なる価値観の間にいかなる平衡を生み出せることが可能か。E・M・フォースターの『インドへの道』にし…
映画『永久の愛に生きて』とオックスフォード――黄昏のロンドン・242019-04-29 15:47:14テーマ:映画と演劇 オックスフォードを語るのに題材は幾つもあると思うのですが、いま思いつくのは、アンソニー・ホプキンズとデブラ・ウィンがーの主演による映画『…
トマス・ハーディの文学――黄昏のロンドン・192019-04-29 06:24:59テーマ:文学と思想 トマス・ハーディの文学と云うと『ダーバヴィル家のテス』、『遥か群衆を離れて』などが有名ですが、特に前者は私にとっては個人的にもとても大事な作品です。 と云うの…
ベルナノス『影の対話』或いは現代の聖女論2018-08-30 15:25:57テーマ:文学と思想 ベルナノスの『影の対話』は映像のない、二人だけの影の対話である。 内容は分かり易く言えば不義姦通、別様な説明の仕方を試みれば、現代における聖女の在り方である。 二…
サン=テグジュペリ『南方郵便機』或いは卓越した生を瞬間のなかに燃え尽きること2018-08-29 11:32:43テーマ:文学と思想 『南方郵便機』や『夜間飛行』などを読む場合は、背後にいるサンテグジュペリなる男の生き様をある程度想定しておいた方が有利だろう。…
ジロドゥ『エゴイスト・ジャック』とコクトー『山師トマ』ーー生のなかの虚構或いは虚構のなかの生2018-08-27 01:40:39テーマ:文学と思想 ジロドゥの『エゴイスト・ジャック』は表題のとおり「エゴイスト」と云う言葉がキーワードになっている。資本主義社…
愛の殉教者たちに奉げる――メリメの『エトルリアの壺』とリラダンの『至上の愛』と2018-08-23 11:18:45テーマ:文学と思想 プロスペル・メリメ(Prosper Mérimée, 1803年9月28日パリ - 1870年9月23日カンヌ)の『エトルリアの壺』とジャン=マリ=マティアス…
輔弼と忖度(ほひつとそんたく)――平成末期の社会景観、安倍晋三氏の政治風景2018-08-16 10:41:41テーマ:政治と経済 面白おかしくキャラクターを引き出す。安物のワイドしょいみて来た日本の社会。くだくだ書くまでもなく、森友学園問題と籠池氏、加計獣医…
フロマンタン『ドミニック』18622018-08-12 18:03:10テーマ:文学と思想 フロマンタンの『ドミニック』は私には味読が難しい本である。予感に満ちた青春の書としての美しい自然描写で始まる導入部、瑞々しい自然の発見とは、人間の自然の物語であるのだ…
フランス近世文学に見るファムファタールの諸相――運命の女論2018-08-05 09:44:22テーマ:文学と思想 まあ、大きく出ましたね!それほどフランス文学に精通しているわけでも、近世のフランス史や女性論、ジェンダーについて正規に学んだ経験があるわけでもな…
吉村葉子の本――『パリ近郊の小さな町—―イル・ド・フランスの魅惑』と『パリ20区物語』2018-08-04 09:38:56テーマ:文学と思想 吉村さんの本には独特の調子がある。十数年来パリに暮らして、エトランジェとして、――流行の言い回しを借りれば、旅するように…
アヴェ・プレヴォ『マノン・レスコー』1730年頃—―古典を読むとは2018-08-02 14:59:57テーマ:文学と思想 アヴェ・プレヴォ―の『マノン・レスコー』、古典の評価高いこの作も、私には自己過信とつまらない愛の物語のように思われた。恋には理由がないから…
野外シアター『素晴らしきかな、人生』2018-08-02 11:19:43テーマ:映画と演劇 この映画、特にこ洒落た映画なので、買う言うこともないのですが。原作のCollateral Beauty ――これを邦画では標記のように訳し、字幕では「悲しみのおまけ」と云うニュアンスで…
ダンケルクーーイギリス映画とフランス映画2018-07-31 10:26:55テーマ:映画と演劇 二つの『ダンケルク』、それなりに味わいのある作品です。 ひとつは、フランスとイタリアの合作映画。主演は全盛期のジャン・ポール・ベルモンド。もう一つは日本では知名度…
フランス映画『ダンケルク』1964年2018-07-29 23:14:42テーマ:映画と演劇 ジャンポール・ベルモンド主演の『ダンケルク』は高校生の時みた。封切館で観たので、ほぼ半世紀余をの期間を配しての再鑑賞と云うことになる。 殆ど忘れていた。覚えていたのは…
野外シアター『ダンケルク』2017年2018-07-29 17:30:33テーマ:映画と演劇 バイクで海の中道の海辺のホテルまで小一時間、ドライブ感覚が心持よい。 次第に空が暮れなづんでまいります。 恒例の花火から。爆竹と共に歓声が上がり、どこからともなく起きる拍…
アンドレ・ジッドの『狭き門』と堀辰雄の『風立ちぬ』2018-07-29 09:42:05テーマ:文学と思想 ジッドの『狭き門』と堀辰雄の『風立ちぬ』、何が違うのか。本家のジッドと、日本の分家筋の傍流、堀辰雄、似ているようでいて、読後感は違う。『風立ちぬ』の爽…
アンドレ・ジッドの『狭き門』と堀辰雄の『風立ちぬ』2018-07-29 09:42:05テーマ:文学と思想 ジッドの『狭き門』と堀辰雄の『風立ちぬ』、何が違うのか。本家のジッドと、日本の分家筋の傍流、堀辰雄、似ているようでいて、読後感は違う。『風立ちぬ』の爽…
コンスタン『アドルフ』1810年頃2018-07-28 10:46:25テーマ:文学と思想 バンジャマン・アンリ・コンスタン・ド・ルベックはスイス・ローザンヌの生まれ、フランス革命を二十二歳の時に迎えている。スタンダール以前のフランス心理小説の先駆者の一人と…
日本・悪徳の栄え――2018年夏・モリカケ問題、日大アメフト部、オウム真理教死刑囚の刑の執行など2018-07-26 14:55:18テーマ:文学と思想 森友、加計問題に加えて今年の夏は、日大アメフト部の問題、オウム真理教の十三人の死刑執行と、いっけんランダム…
野外シアター『怪物はささやく』2018-07-26 11:13:16テーマ:映画と演劇 米英風のアングロサクソニカルなお話、古典的児童文学の定型の韻を踏む、と云えば大体お分かりのことでしょうが、癌を患っている母親の死と云うドラマティックな設定を別にしても、子…
ジェラール・フィリップの『花咲ける騎士道』と『危険な関係』2018-07-18 21:57:54テーマ:映画と演劇 福岡大学の「映像に見るヨーロッパ文化・フランス語圏」は二週続けて、ジェラール・フィリップの『花咲ける騎士道』と『危険な関係』である。連続公演と…
つまらない小説を書いた作者はつまらない人か――近代小説『クレーヴの奥方』の三種三層三重構造の読み2018-07-17 08:35:27テーマ:文学と思想 (要旨) 貞女と云う概念に愚かしくも殉じたある女の生涯と、それを外部から語る主義主張の喧しいイデオロギーの教…
フランス式貞操概念――『クレーブの奥方』2018-07-17 00:46:08テーマ:文学と思想 年代記的叙述の物々しき記述がから始まるこのメロドラマは、今日では近世フランス王政下の歴史的叙述として読まれることも可能かもしれない。かっていままでこの書を数百年に…
愛のジャコバニズム――『危険な関係』2018-07-16 22:01:02テーマ:文学と思想 ラクロの『危険な関係』1782年、二人の好色で悪辣な愛欲の達人の二人組が、如何にして修道院を出たばかりの十五歳の処女セシルと、これはまた貞操の鏡とも云うべき信女さま、こと…