2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧
あるキリスト者の高貴な”嘘”――尊者ピエールについて 2010-03-03 14:18:06 テーマ: 宗教と哲学 第一次大戦後の1919年という年はいろんな意味で重要な年だった。マックス・ウェーバーはこの年にに亡くなっているし、一学者を超えた一連の対話集会における彼の…
ジルソン”アベラールとエロイーズ” 2010-03-03 12:39:55 テーマ: 宗教と哲学 キリスト教理解を基本として、これにギリシア哲学以来の古典古代の教養を引曳き摺るローマ後期のストア哲学すなわちセネカから、アウグスティヌスや聖ヒロエニムスなどのキリスト…
”現代思想としてのギリシア哲学” 2010-02-27 22:30:04 テーマ: 宗教と哲学 <目次>第1章 哲学誕生の瞬間――タレス第2章 逆説の宇宙――ヘラクレイトス第3章 存在の永遠――パルメニデス第4章 非知の技法――ソクラテス第5章 ギリシアの霊性――プラトン第6章 あたか…
アリストテレス倫理学のさわり 2010-02-26 09:18:55 テーマ: 宗教と哲学 ”いまここにブラウンという、頑健で、外向的で、自身に満ちた人がいたとしよう。彼がある会議に出世して、彼が誤りと信じる提案が過半数の出席者にとって大いに人気あるものだったと…
世界の思想家2”アリストテレス”より――国制論 2010-02-20 22:24:09 テーマ: 宗教と哲学 このシリーズは200数十ページのうち、30ページ程度の”思想と生涯”という概説と、残りをそれぞれの著作からの抜粋から成立し、小冊子であるけれども一応全生涯にわ…
M・ウェーバー"プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神”――ライオンとペリカンの会 2010-02-09 22:59:01 テーマ: 読書と現代批評 日時:2010年2月26日(金)18:30~20:50会場:福岡市赤煉瓦文化館(天神)テキスト:マックス・ウェーバー”プロテスタ…
プラトン”饗宴”を読む 2010-02-09 14:51:30 テーマ: 宗教と哲学 プラトンの生涯を通して見るソクラテスの姿はイエス・キリストに似ている、と思う。2500年前に生まれたプラトンと2000年前に生まれたキリスト、本人を見た人もいなく聴いた人もいなく直筆の書…
藤沢令夫”プラトンの哲学” 2010-02-08 14:53:31 テーマ: 宗教と哲学 藤沢令夫がこの本の序章にあてた名称は”グラウコスのように”。グラウコスはギリシャ神話の海神、プラトンの時代より凡そ二千年、毀誉褒貶相反する評価の中で、牡蠣や海藻やらが体中に巻き…
世界の思想家1”プラトン”藤沢令夫編 2010-02-07 20:46:16 テーマ: 宗教と哲学 プラトンについては今まで何度か気になりながら、ソクラテスの弁明等二三冊読んだが記憶が散漫で印象が鮮明に結ばない。一つは対話体という独特の文体が平易であるがゆえに、そ…
「信仰」、神認識の新たな転回――稲垣良典「トマス・アクィナス」を読む(5) 2009-04-21 06:35:14 テーマ: 宗教と哲学 「われわれが事物において認識する善、生命、存在などの完全性は実は神において先住するものであって、事物における完全性はその分有を…
信仰と理性について――稲垣良典「トマス・アクィナス」を読む(4) 2009-04-19 07:37:17 テーマ: 宗教と哲学 このところ稲垣さんの本を読んでトマス・アクィナスについて少しづつ学んでいる。わたしとキリスト教との関係は、一方では三カ年の技術士倫理論文…
トマス・アクィナスの死――稲垣良典[信仰と理性」を読む(3) 2009-04-18 07:51:53 テーマ: 宗教と哲学 「トマスはこの時40代の半ばを過ぎ、その学問は円熟の域に達し、パリ三年間の仕事ぶりから察して、体力的にいささかの衰えも見られず、ある意味でその…
カソリック思考における「経験」の概念をめぐって――稲垣良典「信仰と理性」を読む(2) 2009-04-17 10:15:13 テーマ: 宗教と哲学 稲垣良典によれば、信仰と経験の関係については三つのとりうる道がある。(1)宗教的体験は、経験的世界の射程の外にある。…
学際的な学問について――稲垣良典「信仰と理性」を読む(1) 2009-04-16 09:57:34 テーマ: 宗教と哲学 4月16日 曇り 窓からみえる山には霧がかかっている。雨が降りそうの天気である。昨日は釘宮さんに勧められた稲垣さんの本を探しに行ったが、求めるもの…
学際的な学問について――稲垣良典「信仰と理性」を読む(1) 2009-04-16 09:57:34 テーマ: 宗教と哲学 4月16日 曇り 窓からみえる山には霧がかかっている。雨が降りそうの天気である。昨日は釘宮さんに勧められた稲垣さんの本を探しに行ったが、求めるもの…
森まゆみの『鷗外の坂』1997年を読みながら感じたこと 2020-01-28 21:27:24 テーマ: 歴史と文学 この書が近年の森鷗外に関する名著のひとつであることは疑えないであろう。 頭脳や知性だけでなく、五感やとりわけ足と体力を使った全方位的な著作である、と…
檀一雄を求めて・7 能古島・(上) 2018-12-15 19:14:32 テーマ: 歴史と文学 天気は雲が流れているもののいちおう快晴、檀一雄ゆかりの能古島に行くことにします。福岡市民では遠足や気楽な行楽の対象になっている場所ですので、今までにも何度も行ってい…
デュマ『王妃マルゴ』とラファイエット夫人『クレーヴの奥方』 2018-09-05 10:46:35 テーマ: 歴史と文学 きちんと読んではいないけれども、三銃士の物語やモンテクリスト伯については知っているつもりでいる。『王妃マルゴ』はそれらのフィクションとは違う…
鹿島茂『文学的パリガイド』と海野弘『パリの手帳』 2018-09-03 22:44:53 テーマ: 歴史と文学 鹿島茂の『文学的パリガイド』(2004)と海野弘『パリの手帳』(1996)はそれぞれに興味深く読んだ。まあ、早く言えば、パリに行きたいとこの処思いつつ…
岡本かの子『上田秋成の晩年』を読んで 2018-02-27 11:11:35 テーマ: 歴史と文学 本書は南禅寺の近く岡崎に暮らした最晩年の上田秋成を描いた一篇である。全編、秋成の恨み節、悔み節であるかに見えるが、一読し終えて抱く感情は、清貧と文雅に明け暮らした…
J・M・シング『アラン島』のこと 2018-02-23 17:30:33 テーマ: 歴史と文学 名前のみ知っていて読んでいない本はごまんとある、その中の一冊、シングの『アラン島』、読んでみました。 なぜかシングの書物よりも有名な映画の『アラン』、こちらもきちんとし…
田中優子『江戸の想像力――18世紀のメディアと表徴』を読んで 2018-02-23 11:12:56 テーマ: 歴史と文学 田中の書物で面白かったのは、近世と云う時代に奉げられた、卓越した評価と評言、価値の相対化、多元化、それを、日本古典江戸文化文芸の言葉を使って、…
二人のヴォルフガング――ゲーテとモーツァルト 2017-12-21 13:13:11 テーマ: 歴史と文学 ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテとヴォルフガング・アマデウス・モーツアルト、意外とこの二人のヴォルフガングについて述べられた記述はわたくしの知る限りで…
死の統制――漱石と鷗外に見る芸術的抵抗について 2017-11-26 10:01:43 テーマ: 歴史と文学 古より権威・権力者は死の統制を支配の本質と理解してきた。それはピラミッドや始皇帝陵に見るような、あからさまな現世権力の誇示と永遠化だけでなく、死者を祀ると…
ルター宗教改革五百年とベルリンの壁崩壊、それから映画『菩提樹』とシューベルト歌曲のことなど 2017-11-10 22:02:06 テーマ: 歴史と文学 福岡大学にルターの宗教改革五百年記念講演に出掛けました。 このところ冬めいた木枯らしが吹いていますが、天気も…
近世武士道の諸相――下村湖人生家記念館をあとにして 2017-11-06 08:41:07 テーマ: 歴史と文学 武士道とは死ぬことと見つけたり、とは山本常長の葉隠れのさわりですが、下村湖人の生家記念館を訪れたおりには館長をされてい方が感慨深げに話されました。佐賀…
浦上四番崩れと日本のキリスト教 2017-10-29 15:43:56 テーマ: 歴史と文学 BS・TBSのチャンネルを入れたら、浦上の四番崩れのドキュメントを遣っていた。途中から、――懐かしい長崎の明るい風光に思い出と郷愁を誘われて見始めたのだが、――浦上キリシタンの…
わたくしは日本国憲法をこのように読みましたよ 2017-05-01 22:56:38 テーマ: 歴史と文学 第一部 日本国憲法について 1、諸国民とは何か? 「 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協…
自然科学的要素主義とはなにか? 個人と私人、その時間的論的構造 2017-04-28 09:37:07 テーマ: 歴史と文学 森友学園事件で面白く感じたのは、話題となった園児が”教育勅語”と”五箇条の御誓文”を一緒くたに唱和する場面があったことですね。当事者もメディ…
石原問題と『太陽の季節』――あるロマン的保守主義者の軌跡 2017-03-25 13:16:20 テーマ: 歴史と文学 革命がおこなわれているかぎり 政治的ロマン主義は革命的であり、 革命の終焉とともに保守化する。 ――カール・シュミット 1 背徳の匂いと不明朗さの尾鰭…