2020-12-01から1ヶ月間の記事一覧
12月のベスト10 NEW!2020-12-31 13:33:39 テーマ: ブログ 六位と九位に、大正時代の文学は篇入っています。読書感想文なのと関係があるのでしょうか。 七位と八位に、ヘンリー・ジェイムズの高級な文学は入りました。我が国では――漱石を除けば――ほとん…
12月のベスト5 NEW!2020-12-31 13:23:21 テーマ: ブログ 第一位は、私の政治論が依然として首座を保持しています。確か七八月ころよりこの位置にありますので、今年の後半はこの記事が関心を呼んだということでしょうか。他方、国内の政治政局は、安倍政…
ギリシア的経験におけるノモスnomosとはどういう意味か? 2011-07-22 16:52:50 テーマ: 歴史と文学 ノモスnomosとは何か?通常は習慣や社会的慣習の意味で語られていることが多い。 古典古代のギリシャ社会においては、プラトンはこの語で、法律と政治と音…
夜の会話 2011-06-30 17:32:58 テーマ: 歴史と文学 静まり返ったキャンパスの、今は博物館になっている旧チャペル前にそれは咲いていました。しめやかで幻想的です、その花は。・・・ゆり。 須賀さんの”コルシア書店の仲間たち”の中に、”夜の会話”と云うの…
回想の”夜明け前”と藤村 2011-02-13 13:11:13 テーマ: 歴史と文学 一人の青年の涙から始まったエジプトの革命、後進国あるいは途上国の政治的経験と思いがちなのだが、日本はいまだかって民衆の力で国家権力を退陣まで追い込んだ経験はないわけである。日本…
アベラールとエロイーズに表れたある普遍主義論争 2010-04-20 20:02:27 テーマ: 歴史と文学 ”黒の過程”のゼーノは色っぽい、というより破戒僧に近かったですね。自由に対する熱烈な愛、ユルスナールにお説教やイデオロギーを読む読み方を余りしませんが、多…
千年王国の惨劇――ミュンスター再洗礼派王国目撃録 2010-04-17 21:06:47 テーマ: 歴史と文学 千年王国をめぐるプロテスタント諸派の歴史としては、トマス・ミュンツァーが有名だが、この本の無名の著者ハインリッヒ・グレシュベックが見聞したヴェストファー…
NHKドラマ”大仏開眼”(後編) 2010-04-12 21:29:30 テーマ: 歴史と文学 孝謙天皇とは、その名が示すとおり両親とは愛憎を含めた深い、きわめてヴォルテージの高い親子関係にあったのだろう。事実、不本意ながら天皇の位を光明皇后に退位させられたとき、”孝…
吉備真備とは誰か?NHKのHPより転載します 2010-04-05 10:55:08 テーマ: 歴史と文学 NHKのホームページより転載します。 2009年09月17日 「大仏開眼」東大寺大仏殿で出演者発表 来春4月放送予定の、古代史ドラマスペシャル「大仏開眼~一三〇〇年を見…
NHKドラマ”大仏開眼(前編)” 2010-04-04 23:23:35 テーマ: 歴史と文学 NHKの歴史ドラマを見るともなく見る。素人くさい演技、書割じみた舞台設定、と思っているうちに、ドラマの確かさに引き込まれてしまった。誰の脚本だろう。これは相当のものだ。大…
アーヴィング”アルハンブラ物語” 2010-01-22 17:37:32 テーマ: 歴史と文学 アーヴィングのこの本を読み終えて思ったのは実はアルハンブラのことではなかった。スペインとは、ポルトガルやオランダとともに我が国とは固有のつながりがあった国々であったにも…
映像:源氏物語――悠久の舞台をめぐる 2009-09-21 17:38:33 テーマ: 歴史と文学 光源氏を中心に、彼を取り巻く全五十四帖の女性群像である。桐壷から紫の上を経て浮舟に至る女性に意識連鎖史、といっても良い。映像も桐壷の主要な舞台となる京都御所から、紫…
吉本隆明の”大衆の原像”と”自立の思想的拠点”について 2009-06-27 19:15:42 テーマ: 歴史と文学 博多駅中央口前で激しく行き交う群衆に流されながら、駅弁を探してウロウロとしていたら待ち合わせをしている専門学校の女子のグループに呼び止められた。これ…
”色気の構造”について 2009-06-21 20:36:32 テーマ: 歴史と文学 ある専門学校の生徒の質問に応答して現象学とは一杯のコーヒーカップからすら哲学を語ることができると、かってある高名なフランスの哲学者は語った。それならば、色気などという人間の微妙な…
愛と同じくらい孤独――フランソワーズ・サガンの思い出の周辺 2018-03-10 07:53:05 テーマ: 文学と思想 いわずとしれたフランソワーズ・サガンのワンフレーズ、ですが、この場のセンテンスの素晴らしさ、洒落たセンスに魅かれて、愛好家の方も多いようですね…
近世と近代、徒然なるままに想う、田中優子の『江戸の想像力』から(再録) 2018-03-02 11:53:55 テーマ: 文学と思想 (付記) 先の雨月論の末尾、(付記)の部分の再録です。 田中優子の『江戸の想像力』を読んで、わたくしの想像力も少々羽搏きました。鶏…
『雨月物語』の現在――私的メモ 2018-03-01 10:43:45 テーマ: 文学と思想 ――上田秋成と云う江戸期の文学者について考えた一週間であった。 これは未完の私的メモとも云うべきものであって、 まとまりが悪く論点が不明瞭で読んでも面白くない。 またの機会を…
上田秋成の『春雨物語』をめぐって――「意味付けの拒否」か意味の再定義か 2018-02-25 22:29:44 テーマ: 文学と思想 江戸の後期の文学者、上田秋成に『雨月物語』とならぶ』、『春雨物語』と云うのがあるのですが、確かに、誰かが言うように秋成の代表作たち…
田中優子の文化講演会を聴いて――江戸学とは何か 2018-01-29 11:59:06 テーマ: 文学と思想 田中優子さんの江戸学に関する文化講演会を目覚めながら、妻の枕もとのラジオより漏れる音声で聴きました。田中さんについては随分前より関口宏のサンデーモーニング…
ゲーテの『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』と『遍歴時代』 2017-09-26 22:08:04 テーマ: 文学と思想 ゲーテの中後期に関わる二つの代表作、大部とも云える大冊を読んで複雑な気持ちになった。『修業時代』と『遍歴時代』はかのゲーテの生涯を貫き、フ…
西田哲学と60年代全共闘運動、その青春の論理(再録) ――”西田哲学を言語論的な立場から問う」 のなかから、(付録)の部分の再録です。 戦前・戦中・戦後を通して、何ゆえに 西田幾多郎の哲学が若者に受け入れられたか、 その一端に、思い当たったような気…
三島と川端の死生観 2017-08-30 06:47:31 テーマ: 文学と思想 三島由紀夫と川端康成は生前は親しい師弟関係にありながら、二人が日本人として歩んだ霊界への奇跡は対蹠的なものがあります。 青年の三島は、若い頃より天才として、時代の寵児として、もて囃…
12月のベスト5 (中間発表) NEW!2020-12-18 22:15:39 テーマ: ブログ 今月は三日ほど遅れてしまいました。 さて、上位、大きな変動はないものの、5位にヘンリー・ジェイムズが入ってきました。喜ばしいことです。あの文豪夏目漱石をして、難解至極のも…
エーメ『小人』とエルザ・トリオレ『アンリ・カステラ』或いは平凡に生きるということの難しさ 2018-08-30 16:04:05 テーマ: 文学と思想 エーメの『小人』は幻想文学の部類に入るのだろうか。小人と云う奇形の身体的あり方ゆえにサーカスの必要な芸人たり得…
博多座の《屋根の上のヴァイオリン弾き》とポグロムのことなど――自然への敵意と云う人類が生み出した 2018-01-28 12:34:23 テーマ: 映画と演劇 http://www.hakataza.co.jp/top_img/149966435759630fe5b8c0b_chirashi.jpg 屋根の上のヴァイオリン弾きとは、…
ゲーテの冷酷さと暖かさ・3 魂の不倫 2018-01-26 17:27:05 テーマ: 文学と思想 魂の不倫とは何か。それは自然性に反するだけでなく、この世の掟の神聖もまた穢すことを意味する。エドゥーアルトは肉体的和合の背後にオティーリエを幻想し、シャルロッテは…
ゲーテの冷酷さと暖かさ・2 オティーリエの場合 2018-01-26 15:41:05 テーマ: 文学と思想 シェイクスピアのジュリエットとは言わないまでも、文学作品に描かれた可憐な少女はありますが、オティーリエの場合は創造されてから二百年の歳月を閲した後でも、…
ゲーテの冷酷と暖かさ・1 エドゥーアルトとシャルロッテの場合 2018-01-26 10:59:03 テーマ: 文学と思想 ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ、表面的には訳知り顔の、世知に闌けた文化人且つ学者として、万事を丸く収め、諸事に当たってはそつなくこ…
ゲーテの『親和力』・再論 2018-01-25 16:16:03 テーマ: 文学と思想 シェイクスピアのルネサンスの様式美を遥かに遠く離りて、ゲーテの『親和力』の世界を迎えると、バロック=ロココの美が腐乱するまでに爛熟し、文化文明は大地の大いなる自然性のなかに飲…
シェイクスピアの女性像 2018-01-25 11:54:43 テーマ: 文学と思想 シェイクスピア文学の多面性、豊饒さについては語りつくされていることであるが、人生そのものとも云える複雑さゆえに、あるいは一個の人生が経験知として知る領域を遥かに越える多方面の深…