2021-01-01から1年間の記事一覧
トリュフォーの”隣の女” 2009-11-12 11:10:18 テーマ: 映画と演劇 フランソワ・トリュフォーは70年代に自分の自伝的な積年の課題をヌーベルヴァーグ的な手法を用いて”思春期”の映像に定着させた。80年代に入ると、映画人としてはある意味で戦後フランス…
ポランスキーの”テス”をみる 2009-11-09 18:36:59 テーマ: 映画と演劇 ヴィクトリア朝期とはどんな時代であったか。映像は産業革命の波に洗われるイギリス農村部の荒涼とした風景を背景に、当時の機械化が導入され始めた農作業の風景や、他方では封建的な村…
七月のベスト5 NEW!2021-08-01 10:26:30 テーマ: ブログ Amebaに引っ越してほぼ二年近くになります。 1位から3位までに例によって春樹ものが並びました。 4位に堀辰雄、5位にヘンリー・ジェイムズが入りました。嬉しいです。 やはり、こうした文学界の主流…
七月のベスト10 6位から10位 NEW!2021-08-01 10:37:36 テーマ: ブログ 6位にヴァージニア・ウルフ、7位にゲーテとモーツアルト、8位にオペラの『ラ・ボエーム』、西洋文化の精華ともいわれるべき項目と作家群が並びましたね。嬉しいです。 9位に日本の近…
トリコロール”白の愛” 2009-11-06 19:53:18 テーマ: 映画と演劇 トリコロール三部作の最後に見る機会を得た”白の愛”。第一作目の”青の愛”が愛の不可能性と人間不信を底辺として、生きていくことの相対的な折り合いを描いていたのに対して、ここでは性的不能…
鹿島茂の『失われた時を求めて』の完読を求めて〜「スワンの家の方へ」精読 NEW!2021-07-26 15:55:56 テーマ: 文学と思想 初めて読むプルーストの入門書というよりも、読んでみようとして挫折した経験のある読者向けの解説書、と言えばいいだろうか。 内容…
パヴェーゼを読みたくて〜『女ともだち』 NEW!2021-07-26 13:29:50 テーマ: 文学と思想 パヴェーゼ最晩年の本、と言うことは、この本を書いてから一年後に彼は亡くなるのだが、あのスキャンダラスでもあればミステリアスな事件とともに。 先回書いた『美し…
トリュフォーの”終電車” 2009-11-06 16:37:14 テーマ: 映画と演劇 フランス文化の香気とはこのようなものである、と言わんばかりの力を見せつけた作品である。”アメリカの夜”が今世紀のハリウッドをはじめとする映画産業と映画人への賛辞で貫かていいたよう…
トリュフォーの思春期 2009-11-06 15:36:15 テーマ: 映画と演劇 事前に予備知識をほとんど持たなかったので、いかにもヌーベルヴァーグ風の映画手法や素材の選び方に、初期の作品を予想させた。1976年とは、わたしが映画鑑賞から遠ざかっていた時期なので既…
映画”存在の耐えられない軽さ” 2009-11-05 15:26:02 テーマ: 映画と演劇 ”存在の耐えられない軽さ”とは、本当は共産主義という名の官僚主義社会がどのように市民を扱ったかということ、さらには”正常化”という名前の下でなされた抵抗勢力への分断化された日…
トリコロール三部作”青の愛”をみる 2009-11-04 12:02:52 テーマ: 映画と演劇 キエシロフスキのトリコロール三部作は、”赤の愛”に続いて二作目ということになる。”赤の愛”では運命の糸のように赤い糸が経巡り、人々の離散と結合を条件づける。”青の愛”では有…
若者は最高の教師である NEW!2021-07-09 13:32:48 テーマ: 文学と思想 表記の事を常々想うようになったのは、年齢のせいもあるのかもしれない。或いは、青春は最高の教師である、と書くこともできたかもしれない。こちらの方が趣旨と含意をより伝えてくれて…
映画”めぐりあう時間たち”をみる 2009-11-04 11:22:58 テーマ: 映画と演劇 アメリカ映画だから少し軽く見ていたところもあったのかもしれないが、予想以上の出来に少なからず驚いた。舞台はロンドン郊外の田園の緑溢れるリッチモンド。イギリスの女流作家ヴ…
ブニエルの”昼顔”をみる 2009-11-03 12:17:35 テーマ: 映画と演劇 この映画が作られた1967年とはパリの5月革命の嵐が吹き荒れる前の世界である。国内においてもヴェトナム反戦運動の機運が予感と期待を孕みながらその不気味な予兆を見せ始めた時代である。…
六月のベスト10 6位から10位まで NEW!2021-07-02 18:32:07 テーマ: ブログ 一見して、6位から10位までのラインナップの方がおもしろいですね。 6 『ヴァージニア・ウルフ『波』』・ ヴァージニア・ウルフの『波』は六人の独唱者によるモノローグ集である…
六月のベスト5 NEW!2021-07-02 18:28:17 テーマ: ブログ 六月のベスト5は以下の通りです。 昨夜は、熊本県荒尾市までの久々のスケーターツーリングでーー大牟田までは西鉄本線を利用しましたがーー疲れて早く寝ねてしまいました。 1 『村上春樹 短編『蛍…
映画”ヘンリー8世と私生活”1933年をみる 2009-11-03 11:22:26 テーマ: 映画と演劇 名優チャールズ・ロートンがなるほどそうであったかというほどの名演である。この映画のメインをなすキャサリン・ハワードの野心と繊細を兼ね備えた人物造形は言うまでもな…
映画”会議は踊る”1931年をみる 2009-11-03 10:29:32 テーマ: 映画と演劇 映画を見ながらつくづくこれはシンデレラ物語だなと思わせた。また、”ローマの休日”が裏返された”会議は踊る”ということにも気がつかされた。いままでこのような言及が過去あったのか…
アンドレイ・タルコフスキー”鏡”をみる 2009-10-31 20:49:28 テーマ: 映画と演劇 映像詩ともいえるこの映画を読み解くのはなかなかに困難である。今日はタルコフスキーというなじみのない映画監督、高名であることはかねてより聞いていたので、土曜日の午後…
ジャン・コクトー”美女と野獣”をみる 2009-10-31 20:15:10 テーマ: 映画と演劇 野獣といってもぬいぐるみのように可愛いい?野獣!それにフランス語の発音が綺麗で、ベルがすぐに心を許してしまうのもなるほど、という気がする。しかし信ずる者のためにもし…
オースティン映画”エマ”をみる 2009-10-25 07:02:35 テーマ: 映画と演劇 オースティン映画では、”高慢と偏見”、”何時か晴れた日に(分別と多感)”い続いて三作目となる。オースティンの小説はいかにも作者そのものを思わせる聡明な女性が出てくるが、”エマ”…
映画”魔笛”をみる 2009-10-24 18:06:53 テーマ: 映画と演劇 モーツアルトの”魔笛”が他愛ない筋書きのオペラであるということは言っておかなければならない。単純な善悪二元論と、王子タミーノの婚約者を獲得するまでの成年期固有の成長物語である。この物語…
六月のベスト10(中間) 6位から10位まで NEW!2021-06-16 10:34:08 テーマ: ブログ 6 日本と欧米の自然観の違いについて――富山和子”日本の米”其のほかを読んで(2011/7) アーカ | アリアドネの部屋 (ameblo.jp) 7 村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』第…
六月のベスト5 NEW!2021-06-16 10:25:11 テーマ: ブログ 六月のベスト5(中間)は以ーが下の通りです。 オペラのついてのエッセーが初めて首位に出てまいりました。嬉しいです。 2位から4位は例によって村上春樹のもの、5位には私の政局論が、昨年の八…
ル・コント”髪結いの亭主”をみる 2009-10-24 17:33:23 テーマ: 映画と演劇 ル・コントの映画は二本目ということになる。”仕立て屋の恋”同様、映画作りの巧みさには驚ろかせれる。この映画で描かれたした町の片隅の理髪店で密かに成就された秘められた中年の…
ロメール監督”パリのランデヴー” 2009-10-24 16:57:25 テーマ: 映画と演劇 この映画はオールロケーションであり、手持ちカメラや、車いすにカメラを積んでドキュメンタリータッチで造られた映画である。第一話では、不実な恋人が喫茶店でほかの女性と逢い引…
五月のベスト10 NEW!2021-06-01 22:23:11 テーマ: 文学と思想 7位と9位に、私のサイクリング日誌とウォーキング日誌が、二つも入ってしまいました。 そのほかは、富山和子の環境論、志賀直哉に関するもの、檀一雄について書いたものなどが入りました。 ま…
五月のベスト5 NEW!2021-06-01 16:06:00 テーマ: ブログ 特に目新しい事はないのですが、昨年の八月より一位を保持していた「右寄りと左寄り、・・・」が首位を明け渡すことになりました。村上春樹については、一応評価はするものの、全体的な基調としては…
映画”冷血”をみる 2009-10-24 16:04:47 テーマ: 映画と演劇 アメリカ中西部の片田舎で起きた一家四人の皆殺し殺人事件、そこに作家カポーティは自分自身の少年時代とのある符号を感じる。映画は二人の犯人のうちネイチュアの混血であるスミスとの、死刑執行…
パヴェーゼをまた読みたくて〜『美しい夏』 2021-05-17 00:20:57 テーマ: 文学と思想 久しぶりにチェーザレ・パヴェーゼの本を読みたくなりました。まず手始めに『美しい夏』ーー翻訳者の力量もあるでしょうしょが、素敵に物悲しくて、優雅で 郷愁を誘う、…