中島敦展について アリアドネ・アーカイブスより
中島敦展について
2009-07-29 07:05:13
テーマ:文学と思想
須賀敦子論では画期的な著書がある、神谷光信さんの最新ブログである。
中島敦は、懐かしい!何といっても高校の教科書!いまでも、ああ、あんな話題だったねと、古びることはない。なぜ、虎になったか。人間の生き方の中に、ある領域を超えると、人間でいることができなく領域があること、それを中島は”虎”という言葉で表現した。
これについては最近二人の双子の息子と議論した。
息子曰く――どんな生き方であれ、どんな非合理な仕方であるにせよ、人間であることが出来ない程に徹底した主人公・李徴の生き方は、人々に畏敬の念を与えたのだと。すると、畏敬の念こそ”虎”であったというのだろうか。
そんな、優しい読み方もあるのかと思った。
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(神谷さんのブログより 2009/7/29)
横浜山手、港の見える丘公園内にある神奈川近代文学館で「生誕100年記念 中島敦展 ツシタラの夢」を見た。文学館を訪れるのは1年前の澁澤龍彦展以来。
原稿の類が多数展示されていたが、中島の字が美しいことに驚く。細い万年筆で書かれた清書原稿は、どれも非常に読みやすい。写真もかなり展示してあり、初めて見るものが多かった。
同文学館では、目下、中島が残した自筆資料等4700カットをDVDロムにして販売するべく製作中とちらしにはあったが、今年6月発売予定というので、すでに販売中なのかもしれない。研究者やファンにはありがたい企画だろう。
同展覧会は8月2日まで。残りの会期は少ない。朝は快晴だったのに、文学館を出るときは大雨だった。