2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧
遥かなる死者たちの影――『こころ』と『ノルウェイの森』2015-06-13 11:12:23テーマ:文学と思想 1序説的概説:夏目漱石を論じようとしていつも疑問に思うのは、なぜ漱石だけなのかと云う思いと、漱石の諸作中でも何故『こころ』だけが偏愛されるのか、と云う…
夏目漱石の正価 複製文学論をふくむ2015-06-12 11:51:40テーマ:文学と思想 ・ 鷗外、漱石と並列されて呼称される二人の「文豪!」、個々の文学研究もさりながら、「文豪」と云う語感に混じり合う神格化、神話化の作用がここで取り上げたいテーマである。 鷗…
柄谷行人『日本近代文学の起源』、作品を楽しめない批評家の起源2015-06-10 23:25:37テーマ:文学と思想 ・ 既に誰かが言っていることだが、小林秀雄、吉本隆明、江藤淳、そして柄谷行人と並べて気がつくのは、戦後的言説の地平に於いて、批評家と呼ばれる人…
わがくににおけるエックハルトの受容2009-04-03 23:49:56テーマ:宗教と哲学 以下に貴重な証言であると思うのでに、日本人のエックハルト体験の一例を引く。前記上田閑照の著作集よりの孫引きである。本意を汲んで許されたい。 それはほかでもない、私の娘が…
上田閑照「マイスター・エックハルト」について2009-04-03 10:47:57テーマ:宗教と哲学 アリストテレスからトミスムを含む中世キリスト教史をあつかった浩瀚な書物の全容を解説しようというのではない。前にもふれたように、没後の須賀週間とでもいう時期に…
マルタとマリアについて2009-03-25 10:22:53テーマ:宗教と哲学 3月25日す曜日 晴れ 朝から風が強く肌寒い朝である。ゲハルト・ヴェーアの評伝マイスター・エックハルトはルカ書第10章にかなりの紙面を割いている。イエスがとある村を通りかかるとマルタとマ…
三年前の記事になりますが、要は、ヘンリー・ジェイムズの眼でジェイン・オースティンを読み込む、読み直すという、試論的、革新的、かつ扇情的な読み方を期待した論文です。お上品なオースティン像など糞くらえ!英米文学を研究される方に読んでほしいと思…
白州正子展のこと――あるいは近江という国について2009-05-10 14:08:57テーマ:歴史と文学 5月10日 日曜日 晴れ 白州正子にどういうことで関心を持つようになったかは今となっては定かでない。その後たいてい彼女の本を携えて旅に出ることが多かったので最も…
アンダルシアの光芒――、マリア・メサ・メノカル「寛容の文化 ムスリム、ユダヤ人、キリスト教徒の中2009-05-06 16:17:01テーマ:歴史と文学 メノカルの「寛容の文化」はちょっとしたカルチャーショックを与える暗示に富んだ本だが、内容の平明さに比し、手持…
スペインの夜と霧(つづき)2009-05-05 08:17:44テーマ:歴史と文学 14世紀のポグロムについてお尋ねなんですね。―― おっしゃるようにもっと私達はイベリアの二国のことを知らなければなりませんね。イタリアについてですら、行く前まではその先入見たるや散…
オペラ映像「トリスタンとイゾルデ」をみる2009-05-04 21:03:19テーマ:音楽と歌劇 トリスタンは、イゾルデとの婚姻を目論むマルケ王の使いとしてアイルランドからコーンウォールへの彼女の移送のための船旅が第一幕である。イゾルデはトリスタンが、かつて…
スペインの夜と霧――小岸昭「マラーノの系譜」、芝修身「レコンキスタ」を読む。2009-05-04 11:17:21テーマ:歴史と文学 我々大多数の日本人にとってスペイン、あるいはイベリア半島の存在は遠い。過去天正期にキリシタンの不況の不幸な歴史を通じて、けして…
5月度のベスト・5NEW!2020-06-02 01:26:18テーマ:ブログ 五月度のベスト5は、下記の通り。 1位と4位には、村上春樹のものが入りました。どういう観点から春樹の文学に批判的であらざるを得なかったかが、この記事を読めばわかると思います。 2位には…