アリアドネの部屋・アネックス / Ⅰ・アーカイブス

アリアドネ会修道院附属図書館・アネックス一号館 本館はこちら→ https://ameblo.jp/03200516-0813  検索はhttps://www.yahoo.co.jp/が良好です。

2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

映像と原作の間、映画と小説――『ドグラ・マグラ』のメタ文法の世界 アリアドネ・アーカイブスより

映像と原作の間、映画と小説――『ドグラ・マグラ』のメタ文法の世界2018-07-14 08:35:29テーマ:文学と思想 限られた残された時間の中で、――例えば最近偶然から、六十年代の松本俊夫や鈴木清順の古い映画を観て、そろそろこの時代のアヴァンギャルドや映像派…

夢野久作『ドグラ・マグラ』を読む アリアドネ・アーカイブスより

夢野久作『ドグラ・マグラ』を読む2018-07-13 13:40:04テーマ:文学と思想 先日、松本俊夫の『ドグラ・マグラ』の映画化に当たって、当作品にはさほどの評価を控えたのであった。映画監督の問題なのか、原作に問題があるのか、それで改めて、噂に聞く夢野の…

マルセル・プルーストの眼 アリアドネ・アーカイブスより

マルセル・プルーストの眼2018-07-06 13:57:57テーマ:文学と思想 自らも言うごとく、マルセル・プルーストの人間観察の冷徹さ、辛辣さは、シニスムを超えて光学顕微鏡とレントゲン撮影を合わせもつほどのリアリズムを実現させていますが、その特徴と云えば…

プルースト『スワンの家の方へ』――『失われた時を求めて・第一巻』を読み直して アリアドネ・アーカイブスより

プルースト『スワンの家の方へ』――『失われた時を求めて・第一巻』を読み直して2018-07-05 22:41:41テーマ:文学と思想 『スワンの家の方』とは、プルーストの架空の故郷、コンブレーに住んでいたプルースト家の家人たちが恒例に歩いた二つの散歩道、――毎年…

日本と欧米の自然観の違い(2011年7月・再録) アリアドネ・アーカイブスより

日本と欧米の自然観の違い(2011年7月・再録)2018-07-05 12:28:12テーマ:宗教と哲学 2011年7月の標記の記事を再録いたします。日々の徒然に読んでいただいた私の記事の、昨日分では初めてトップになりました。幾度かベストテン内に姿を見せているのは、知…

水辺の物語――『甘い生活』をめぐる雑感 アリアドネ・アーカイブスより

水辺の物語――『甘い生活』をめぐる雑感2018-07-02 22:37:03テーマ:映画と演劇 もうこの齢になれば、権威や権力に義務や義理も感じる謂れはない。間違っていても良いから、思ったことをポンポンと、波間にたゆとう頼りない小型発動機船のように景気よく吐く…

フェリーニの『甘い生活』1959—-映画製作後59年目の感想 アリアドネ・アーカイブスより

フェリーニの『甘い生活』1959—-映画製作後59年目の感想2018-07-01 18:37:22テーマ:映画と演劇 早いもので、この映画、制作完成から五十九年を閲していることになる。古びることなく、新しい!傑作と呼ばれる所以だろう。 『甘い生活』を久しぶりに映画館…

目に見えないものの価値と「見せる政治」――安倍政治の特色 アリアドネ・アーカイブスより

目に見えないものの価値と「見せる政治」――安倍政治の特色2018-07-01 06:59:46テーマ:政治と経済 戦後七十年をこえる我が国の民主主義政体の歴史は、日本国平和憲法と云う目に見えないものをめぐる歴史でもあったようです。理想とか理念とか目に見えないも…

出来損ないのフランス映画『汚れた血』――記憶の尾鰭を引き摺る私の感傷! アリアドネ・アーカイブスより

出来損ないのフランス映画『汚れた血』――記憶の尾鰭を引き摺る私の感傷!2018-06-29 11:14:08テーマ:映画と演劇 ごた混ぜで、荒々しく、粗削りで、不用意なほど感傷的な映画、到底傑作の部類には入れないのに、――批判的な評価を下さざるを得なかったにも関…

フランス映画『汚れた血』 アリアドネ・アーカイブスより

フランス映画『汚れた血』2018-06-26 20:57:29テーマ:映画と演劇 今夜は地元の福岡大学における公開講座フランス語額圏よりの映画の紹介です。2018・6・25 18:00~21:00 この記事の中から、一つの伝えたい言葉を抜き出しておきますね。 愛は、個人の自覚…

リアリティと実感――松本俊夫の世界その⑷ アリアドネ・アーカイブスより

リアリティと実感――松本俊夫の世界その⑷2018-06-26 15:40:21テーマ:映画と演劇 『ドグラ・マグラ』と云う世界、複雑なようにも単純なようにも見えます。系統的履歴の遺伝と云う肉体的なもののみに限定されない、後天的なものが、履歴生得が繰り返し繰り返さ…

『ドグラ・マグラ』1988――松本俊夫の世界その⑶   アリアドネ・アーカイブスより

『ドグラ・マグラ』1988――松本俊夫の世界その⑶2018-06-26 13:11:08テーマ:映画と演劇 『ドグラ・マグラ』と云う映画 今回この映画を観て、一部には名高い夢野久作の世界の一端に触れた気がしました。同じ九州生まれの作家であり、福岡を主な在住拠点とし、…

『修羅』1971--松本俊夫の世界その⑵ アリアドネ・アーカイブスより

『修羅』1971--松本俊夫の世界その⑵2018-06-24 19:35:05テーマ:映画と演劇 赤穂義士の仇討ちに加わるための百両の金子をめぐる、不可解な巡り合わせの数々を語る、鶴屋南北の世界に原作を求めた映像作品である。松本俊夫が優れた映像作家であり、同時に映…

『薔薇の葬列』1969――松本俊夫の世界その⑴  アリアドネ・アーカイブスより

『薔薇の葬列』1969――松本俊夫の世界その⑴2018-06-24 18:43:05テーマ:映画と演劇 六十年代の終わりの頃、新宿のゲイバーの花形である美少年エディは、現在のママであるレダとその座を争い、彼女を死に追いやり、店もオーナーの心も共に手に入れるが、やがて…

鈴木清順映画月間最終日――『河内カルメン』と『オペレッタ狸御殿』 アリアドネ・アーカイブスより

鈴木清順映画月間最終日――『河内カルメン』と『オペレッタ狸御殿』2018-05-29 18:51:49テーマ:映画と演劇 最終日は午前中に『代わりカルメン』をみ、午後から『オペレッタ狸御殿』を観る。 河内に隣接する生駒山系の麓の村に住むもぎたての果実のような娘が…

日本人の男らしさの矜持 アリアドネ・アーカイブスより

日本人の男らしさの矜持2018-05-24 08:18:57テーマ:文学と思想 昨今の様々の不祥事に伴う男たちの言い逃れの構図を見ていると、日本人の男らしさの論理はどうなっているのだろうか、と思う。私はなにも昔は良かったなどと云う話をするつもりはなくて、終戦…

清順の美学その2・下—―『陽炎座』 アリアドネ・アーカイブスより

清順の美学その2・下—―『陽炎座』2018-05-22 22:38:53テーマ:映画と演劇 次は『陽炎座』1981年である。構成が複雑で荒唐無稽である割には、終わってみれば単純なお話である。回帰と幻想の絢爛たる映像美の世界と云えるが、内容的にはさほどのものはない。 …

清順の美学その2・上—―『ツィゴイネルワイゼン』 アリアドネ・アーカイブスより

清順の美学その2・上—―『ツィゴイネルワイゼン』2018-05-22 17:15:53テーマ:映画と演劇 『ツィゴイネルワイゼン』1980年と『陽炎座』1981年、無内容で無理想と云う意味では、彼がものしてきた日活時代のヴァイオレンスものと変わりはない。 前者は、自殺願…

清順の美学その1――『野獣の青春と』l『殺しの烙印』 アリアドネ・アーカイブスより

清順の美学その1――『野獣の青春と』l『殺しの烙印』2018-05-22 16:49:07テーマ:映画と演劇 『野獣の青春』1963年と『殺しの烙印』1967年、映画自体には驚かなかったが、技法には驚いた。 後者は、殺し屋たちの戦後の挽歌を描いた抒情詩と云っても良いだろう…

『失われた時を求めて』第一篇・第一部・第一章について アリアドネ・アーカイブスより

『失われた時を求めて』第一篇・第一部・第一章について2018-05-21 17:19:08テーマ:文学と思想 有名なプチットマドレーヌのフランス菓子の挿話で終わる長大な長編小説の最初の百ページほどが、雑然と茫漠とした体裁をとりながら、なかなかに巧みに書かれて…

高遠訳プルースト『失われた時を求めて・Ⅰ』第一篇「スワンの家の方へ・Ⅰ」第一部コンブレ―第一章 アリアドネ・アーカイブスより

高遠訳プルースト『失われた時を求めて・Ⅰ』第一篇「スワンの家の方へ・Ⅰ」第一部コンブレ―第一章 2018-05-18 08:28:33テーマ:文学と思想 コンブレーについての私の就寝にかかわるドラマと舞台以外の全てが存在しなくなって既に多くの歳月が流れたある日の…

高遠訳プルースト『失われた時を求めて・Ⅰ』第一篇「スワンの家の方へ・Ⅰ」第一部コンブレ―第一章 アリアドネ・アーカイブスより

高遠訳プルースト『失われた時を求めて・Ⅰ』第一篇「スワンの家の方へ・Ⅰ」第一部コンブレ―第一章 2018-05-17 15:01:06テーマ:文学と思想 (要約 p104- 113) 祖母の知的な趣味、――物質的な安楽と虚栄心以外に喜びを見出す、美しいものから得られる効用を説…

高遠訳プルースト『失われた時を求めて・Ⅰ』第一篇「スワンの家の方へ・Ⅰ」第一部コンブレ―第一章 アリアドネ・アーカイブスより

高遠訳プルースト『失われた時を求めて・Ⅰ』第一篇「スワンの家の方へ・Ⅰ」第一部コンブレ―第一章 2018-05-17 11:55:55テーマ:文学と思想 父が私たちの前に立っていた。 ここで意外なことが起きる。父は原則に捕らわれない人であったし、コンブレーの中世以…

高遠訳プルースト『失われた時を求めて・Ⅰ』第一篇「スワンの家の方へ・Ⅰ」第一部コンブレ―第一章 アリアドネ・アーカイブスより

高遠訳プルースト『失われた時を求めて・Ⅰ』第一篇「スワンの家の方へ・Ⅰ」第一部コンブレ―第一章 2018-05-17 08:16:31テーマ:文学と思想 同じような苦悩がスワンの人生で長年の苦しみの種のなってきたのだった。スワン以上に私を理解してくれる人間はいな…

高遠訳プルースト『失われた時を求めて・Ⅰ』第一篇「スワンの家の方へ・Ⅰ」第一部コンブレ―第一章 アリアドネ・アーカイブスより

高遠訳プルースト『失われた時を求めて・Ⅰ』第一篇「スワンの家の方へ・Ⅰ」第一部コンブレ―第一章 2018-05-16 21:52:07テーマ:文学と思想 (要約 p68-84) とは言え家族のなかでスワンの訪問を一番苦痛に感じていたのは私だった。誰であれ客がある場合はそう…

高遠訳プルースト『失われた時を求めて・Ⅰ』第一篇「スワンの家の方へ・Ⅰ」第一部コンブレ―第一章 アリアドネ・アーカイブスより

高遠訳プルースト『失われた時を求めて・Ⅰ』第一篇「スワンの家の方へ・Ⅰ」第一部コンブレ―第一章 2018-05-16 10:25:17テーマ:文学と思想 (要約 p61-63) ところで祖母の古い知り合いに、彼女が幼年期の寄宿舎時代の友があった。有名なブイヨン家のヴィル…

高遠訳プルースト『失われた時を求めて・Ⅰ』第一篇「スワンの家の方へ・Ⅰ」第一部コンブレ―第一章 アリアドネ・アーカイブスより

高遠訳プルースト『失われた時を求めて・Ⅰ』第一篇「スワンの家の方へ・Ⅰ」第一部コンブレ―第一章 2018-05-16 06:36:18テーマ:文学と思想 以上が『失われた時を求めて』の主要人物であるスワン氏の父親に関する物語であるが、こうした父個の関係を描くこと…

高遠訳プルースト『失われた時を求めて・Ⅰ』第一篇「スワンの家の方へ・Ⅰ」第一部コンブレ―第一章 アリアドネ・アーカイブスより

高遠訳プルースト『失われた時を求めて・Ⅰ』第一篇「スワンの家の方へ・Ⅰ」第一部コンブレ―第一章 2018-05-15 16:37:09テーマ:文学と思想 (要約 p45-49) 眠る時間になって二階に上がっていくときに私の唯一の慰めとなったのは、ベッドにもぐりこんだ頃お母…

高遠訳プルースト『失われた時を求めて・Ⅰ』第一篇「スワンの家の方へ・Ⅰ」第一部コンブレ―第一章 アリアドネ・アーカイブスより

高遠訳プルースト『失われた時を求めて・Ⅰ』第一篇「スワンの家の方へ・Ⅰ」第一部コンブレ―第一章 2018-05-15 10:37:46テーマ:文学と思想 (要約 p36-37) そのころコンブレーでは午後の終わり近くなると、そこは常に苦しみに満ちた場所となった。と云うのも…

高遠訳プルースト『失われた時を求めて・Ⅰ』第一篇「スワンの家の方へ・Ⅰ」第一部コンブレ―第一章 アリアドネ・アーカイブスより

高遠訳プルースト『失われた時を求めて・Ⅰ』第一篇「スワンの家の方へ・Ⅰ」第一部コンブレ―第一章 2018-05-14 17:37:33テーマ:文学と思想 これからマルセル・プルーストの長大な大長編『失われた時を求めて』(全七巻)を、ゆっくりと、ゆっくりと、ため息…